2017年10月8日日曜日

ボゴタの黄金博物館での思いつき。ホモ・サピエンスが金に惹かれる理由とは?




ボゴタでは黄金博物館・Museo de Oroに行きました。
たまたま訪れた日曜日は入館無料。


場所は旧市街にあり、サンタンデール公園の向かいに面しています。
歩いて1分ほどの場所にはインターナショナルエメラルドミュージアムもあります。
このエリアだけでどれほどのお宝が…


とても質の高い博物館で、一見の価値あり。
ボゴタに行った際にはぜひおすすめしたい場所です。
いろいろなインスピレーションが湧きました。












黄金博物館では、ものすごい量の展示品だけでなく、金という元素鉱物についての基本的な知識も展示されています。


スペイン語で金はOro(オロ)。
元素鉱物の一種類で元素記号はAu。







自然金は自然銀(Ag)や自然銅(Cu)とグループを構成する事が多く、そこから金のみを抽出、加工されて純金となります。


金の純度は24分率表され、「24金」と呼ばれている金がもっとも純度の高い(99.9%)金になります。
18金だと純度は約75%。


金を買うなら24金が一番クオリティが高いという事ですね。








展示されている黄金を見ていると、ついついその輝きに引き込まれていきます。
他の博物館とは違う高揚感があたりに漂い、自分も含めてみんなが興奮状態。


保存されている遺物のコンディションも非常によく、改めて金は劣化しないんだということを感じざるをえません。


















繊細な造形も多いですが、全体的にどこかユーモラスなデザインの遺物が多く、この地域に住んでいた古代の人たちのイマジネーションにくすりとさせられます。











それにしても圧倒的な量の金。
どんだけ産出してたんだと。







インカの人たちが作り上げた黄金文化は、侵略者であるスペイン人も魅了しました。
全く違う文化圏であるにも関わらず、すでに世界共通で金の価値は認められていました。


なぜ、これほどまでにこの光り輝く元素鉱物はホモ・サピエンスを虜にするのでしょう。







金は、はるか昔から価値があるものとされていました。
諸説あるものの、もっとも古い記録はなんと紀元前4000年頃、現在のルーマニア・トランシルバニア地方で、産出された金を加工して装飾品に使っていたと考えられています。
今から約6000年前ですね。


その後、シュメールやエジプト、古代ギリシャにおいても金は重用され、紀元前1500年にはすでに交換手段の基準になっていました。


正確な記録は残っていませんが、もちろん南米大陸の先住民も紀元前から金を発見し加工しています。








金の価値と考えると、今の時代、価値イコールお金です。
6000年前、トランシルバニアの貴族も同じ感覚で金を所有していたのでしょうか?




今世界に流通している紙幣のお金そのものには、その金額に見合うだけの実質的な価値はありません。
100ドル札を作る原価は、紙代とインク代、人件費を加えても100ドルには届かないでしょう。
紙幣のお金の価値は流動的です。
インフレすれば価値は下がり、限りなく精巧であっても偽札と認定されれば価値はありません。
株式や小切手と同じ、「約束と信用」で成り立っている契約書の一種です。









でも、金は違います。
その価値は地球上のあらゆる場所で6000年以上昔から高い価値を保っています。


その理由の一つとして、金の特徴のひとつである、劣化しにくいという点が考えられます。
他の多くの金属(銀や銅も)は酸素によって酸化します。
化学結合が切れてしまい、最後は土に帰っていきます。


しかし、金は酸素によって化学結合が切れることはなく、紫外線によっても劣化することはありません。
”永遠の輝き”とはダイヤモンドの宣伝で耳にした文句ですが、金こそ永遠に輝き続ける元素鉱物です。


あくまで人間の尺度による「永遠」ですが。


永遠に輝き続ける金は、不滅、不変といったイメージにつながり、それが死を恐れる人間にとって憧れになっていったという説があります。


死や老いも不変的な恐怖だったんでしょう。






それでは、そのような性質が判明してから、金の価値は高まったのでしょうか?
世界のあちこちで初めて金を発見した人たちが、その輝きに魅了された時、
「この鉱物は永遠を感じる…」と、そこまで感じて魅力を感じたのでしょうか?


私は違うと思うんですよねー。
もっとこう、なんというか、本能的に「この輝きが美しい!」と感じたように思うんです。
河原の砂底でキラリと輝く粒を見た時に「綺麗…」と感じたと思うんです。


ではなぜ、輝きに対して私たちのDNAは「美しい」という感情を感じるのでしょう。






光り輝くものを「美しい」と感じることは、ホモ・サピエンスが繁殖していくため、生存するためには直接関係なさそうです。
食べられるわけではないし。


では、美しく輝くものに対して「快」を感じるDNAの記録はどこに由来しているのか。








もしかして、太陽を連想するからなのでしょうか。
夜は視界が悪くなり、危険に遭遇するリスクが高まります。
夜明けの太陽は、昔から私たちに安堵の感情を与えていたはずです。


でも、私たちは同じように月や星を見ても「美しい」と感じます。
夜空に光り輝く天体にも同じように惹きつけられ続けています。







では、なぜ?







この感情はどこからきている?









私たちが輝くものに惹かれる理由…?










あ! もしかして…











もしかして、その感情の由来は私たちが生まれてくる時に必要な感情に起源があるのではないでしょうか。
母親の胎内から、産道を通り、この世界に生まれてくる瞬間。
外の世界は光に満ちて明るく輝いているはず。


その輝きに魅力を感じるようにDNAにプログラミングされている本能こそが、金の輝きを魅力的に感じる理由なのでは。




スペイン語では出産することを「dar a luz」と言います。
darは与えるという動詞で、luzは光という名詞。
直訳すると光を与える、という行為が出産するということになります。


輝きを美しいと感じることは私たちにとって、とても基本的で、根本的に必要な感情なのかもしれません。















…という壮大なイメージが膨らんだ黄金博物館でした。


ふー。
すごいです。金。
持っていかれます。


4階建てのミュージアムをじっくり見学した後は、ぐったり疲れてしまいました。


その輝きは魅力的ですが、癒し系の鉱物ではないことも確か。
金には血なまぐさい歴史が常につきまとっていますが、それも納得できます。


強烈な魅力もありますが、人を狂わせる作用も持ち合わせている唯一無二の鉱物ですね。


国宝級のお宝満載のボゴタの黄金博物館。
行くなら絶対日曜日!(無料)