2015年12月29日火曜日

2015年に読んだ意識を拡張してくれる本 おすすめ18選

うろうろしながら各地の図書館や古本屋さんで探して読んだ本。
日本を出てからは、電子書籍で。


海外在住でも電子書籍で日本語の本が読めることはすごい嬉しい。
品揃えも料金的にも制限がかかっているけど、読めるだけ幸せです。


☆がついているは何度読んでも新しい気づきがあるので特におすすめなもの。




羊の宇宙 夢枕獏 ☆
アインシュタインらしい物理学者とカザフスタンの羊飼いの少年が、山の中で宇宙について穏やかに語り合う物語。
宇宙や時間や空間ってどんなものなのか、不思議なことなのに考えなくなってしまっていた自分に気がついた。






美しい星 三島由紀夫
自分たちが宇宙人だと自覚した埼玉県に住む家族の物語。
人間という生き物の本質を宇宙人の視点を通して覗いていく。
三島由紀夫は人間を愛していたんだろうな。





月と農業 Jairo Restrepo Rivera
農業の実践書。
中南米に住む先住民族の農民は、今でも月の動きを頼りに有機的な農業を行っていて、月の満ち欠けに合わせて種を蒔き、肥料を与え、収穫する。
メキシコに来てから実際に自分でもいくつかの植物で試してみたが、種のせいか水のせいか土のせいか、そううまくはいかなかった。
すべての地域・作物に適用できるものではなさそうだが、それでも口伝で伝えられたものは結局確率が高くなるはずだと思う。








僕はお金を使わず生きることにした マーク ボイル 
アイルランドの若者が1年間経済活動と距離を取り、農場で暮らしながら行った社会実験について書かれた本。
その実験は資本主義と豊かな人生についての哲学的な研究でもある。
今の社会で幸せに生きるための新しい提案。
普通の人にはできないこと(冬は氷点下まで冷えるような場所で寝泊まりをしているので、暖をとるためにまずは毎朝腕立て100回とか)をやりきった人ならではの説得力があって面白かった。
自分のテーマを追求するという哲学的な行為に、継続して取り組める人生は幸せだ。






ジェノサイド 高野和明
アフリカのコンゴ共和国に住むピグミー族に突然変異の人新類が現れる。
その新人類を巡ってのSFミステリー。
構成と展開のスケールが壮大で、読むのを止められなかった。
作り込まれた娯楽小説。
読後には一晩踊り明かしたような不思議な達成感を感じた。







津軽  太宰治
青森を旅している時に古本屋で”津軽”を購入。同じ景色の中で太宰の人間性が垣間見れた。豊かすぎる感性を持ち、ギャグセンが高くて、酒が好き。
一緒に旅したら楽しそう。





人間失格  太宰治
とにかく欲に弱い人だったんだなあと共感が持てた。魅力的な人だったんだろうな。





農民芸術概論 宮沢賢治 ☆
岩手を旅していた時に読んだ。
芸術が人に与える影響を力強くて綺麗な言葉で伝えている。






トワイライトフリークス 山田塊也
ヒッピーのポンさんの世紀末の過ごし方。
今思えば、まだアンダーグラウンドな文化が残っていた世紀末。
生態系の中での人間としての責任を問うている。






WORK SHIFT  リンダ・グラットン ☆
3回ぐらい読んでる。未来の働き方について。
現実はこの本で書かれている未来に近づいて行っているので、人生設計の参考にしている。
翻訳がとても丁寧で、見事な仕事。






レンタルチャイルド 石井光太
カナダに住んでる地元の友達がくれた、インドの物乞いの話。
あまりにもカルマが濃すぎる国だ。
インドに行った時に目には入っていたはずの景色。
見えていたんだけど認識できていなかった暗部。
だんだんもう笑えない国になってきている。





2035年の世界 高城剛
なんか胡散臭いので購入をためらっていたが、面白かった。
今年は未来に目を目けた本を選んで読んだ年だった。






民間防衛 スイス政府
日本で安保問題が過熱していた夏、メキシコで読んだ。
全スイス国民に配布されているこの本には、国と国民がそれぞれの役割を果たして国を守るためにどう行動するべきなのか具体的な役割・方法が書かれている。
シンプルで平等でいい国だと思った。






SPEED スピード 石丸元章
スピードって怖いなあ …。最低の日々が最高に面白い物語に昇華している。
煙と匂いの表現が秀逸。





平壌ハイ  石丸元章
立て続けの石丸元章チョイスの理由は多分グアナファトの日々が退屈で刺激を求めていたっぽい。いろんな意味でトリッピーな作品。
クレイジーだけど人間臭いとこが魅力的。






アヘン王国潜入記 高野秀行
早稲田大学探検部出身の作者はマジで探検冒険潜入している。
未開の地でアヘンを栽培している民族との暮らしについてのルポタージュ。
世界では全く知らないことが堂々と行われていることを再認識させてくれた。






始めよう。瞑想〜15分でできるココロとアタマのストレッチ〜 宝彩有菜
ブレインデトックスとしての瞑想を生活に取り入れたかったのでその指針として購入。
脳の再起動は気持ちが良い。







目の見えない人は世界をどうみているのか 伊藤 亜紗 ☆
障害を持っている人との関わりは、健常者にとって精神的に価値のある経験や感情をもたらしてくれる。
彼らと関わることを経験していない人にとっては、どう関わるかが一つの枷になっているのかもしれないけれど、自分と違う感覚の人と関わることはとても刺激的で、それはむしろお金を払う価値さえある体験だと思う。
新しい関わり方を提案していて、その視点が面白い。
これもイノベーション。

2015年12月27日日曜日

シャスタトリニティでフリーキャンプできる場所と酸性泉の掛け流し温泉

アメリカの家賃・宿泊費の高騰がすごいです。


サンフランシスコでは、在住している友人の話では平均家賃が2800ドルぐらい。
日本円にして大体35万円くらいと言ってました。


シリコンバレーに富が集まりすぎたせいか、にわかには信じられないような価格帯になっています。


ニューヨークでも一泊の平均宿泊費が200ドルくらいとか。
いつの間にそんなことになってたのか全く知りませんでしたが、なかなか旅人にとっては厳しい国になってきています。
世界の中心は日々変化しているってことですね。


そんな狂った物価ですが、それでもそこは自由の国アメリカ。
フリーでキャンプできる場所もたくさんあります。


その中でも北カルフォルニアのシャスタ近辺のキャンプ場はフリーなんだけど環境が抜群で、アメリカが生んだ偉大な自然詩人、ゲリー・スナイダーが唱えていたSense of the place(場の感覚)を体感できる場所だと思う。


地続きだけどもカナダやメキシコとはまた違った、琴線に触れる気持ちのいい環境がそこにはある。

























シャスタ山の周りには良い水が沢山湧いたり流れたりしていて、空気は澄み、とてつもなく星が綺麗。
町にいる人たちは少しエキセントリックだけど攻撃的な人を見かけることはなく、皆フレンドリーに接してくれる。


地球上には手つかずの美しい自然の景色がまだ少し残っているけど、このシャスタトリニティー地域の景観は特に素晴らしく、人の心を打つ絵画のような風景を沢山見ることができます。


そんなシャスタの大自然を満喫できる、フリーキャンプ可能な場所や温泉のご紹介です。









Castle lake Campgroundo
キャッスルレイクキャンプグラウンド

シャスタの町から見るとシャスタ山の反対方向にあるキャッスルレイクのキャンプ場。


利用期間は5月の雪解けから11月頭までで、その間は無料で利用できます。
トイレはありますが水場はないので、飲み水などは持参しましょう。
テントを張れる場所は全部で6サイト。連続して3泊まで宿泊することができます。


フリーのキャンプサイトなんだけど、管理人さんも常駐しているので安心感が保たれているのが嬉しい。
あまり大きなキャンプ場ではないので、大きなトレーラーなどは中に入るのが難しそうです。


わたしたちはすぐ横にある湖のキャッスルレイクには結局行かなかったけど、町で買ったクラフトビールを飲みながら静かな夜を過ごしました。


町からもそう遠くなく、トレイルの起点にすることもできる使い勝手の良い立地。
キャッスルレイクからのトレイルの先には、恋愛の妖精が住むらしいハートレイクもありますよ。






Castle lake Campgroundoの近くのプリミティブキャンプスペース


キャッスルレイクでキャンプする予定だったのですが、なんと到着した時点ですでにフルブッキング。
どうしようかと困っていると、キャスルレイクキャンプグラウンドの管理人さんがこの場所を教えてくれました。


キャンプ場の200mほど手前に車が入っていけるスペースがあり、その奥のスペースでキャンプができます。
もちろんただの空きスペースなので水場、トイレ、電気はありません。


天気が良ければシャスタ山を一望できるはずですが、私たちが訪れたときはシャスタ山には大きな雲がかかっていて、結局最後までその姿を見ることができませんでした。


私たちのほかにもキャンプをしている人は何組かいて、歩いて見て回ると焚き火の後など人の痕跡がところどころに残っていました。


森ではなく、山肌が露出している茂みの隙間でキャンプをすることになるので、悪天候の日は風や雨を遮るものがなにもないので要注意。


そのぶん空がとても近く、人生で一番綺麗な星空を見ることができました。
天の川がはっきりと見え、空一面に広がる数え切れない星々。
当たり前すぎて普段は意識していない宇宙をはっきりと認識させてくれる星空でした。


壮大な天体観測を存分に楽しんだ後、そろそろ寝ようかなとテントで寝袋にくるまっていると、突然空がピカッと光りました。
雷のような一瞬の光ではなく、もっと強くて長いはっきりとした光。
なんの光かは結局不明でした。


UFOが来て、宇宙人にさらわれるならここしかない!というような場所です。










Panther Meadows
パンサーメドウズ


シャスタ山の8合目にあるキャンプ場で、シャスタの中でも特に神聖視されている場所。


テントサイトは全部で15箇所あり、なかなか広いスペースがあります。
こちらもテーブルやトイレはありますが水場はありません。
シャスタ山の中腹にあるので、利用期間というか道が開けているは雪解けの間のみ。


パンサーメドウズの森の中には雪解け水が湧き出ていて、夏場だけに咲き乱れる高原植物はなんと300年もの時をかけてゆっくりと生きているものもあり、珍しい植生が保たれているそう。



この場所を知ったきっかけは、サクラメントリバーのヘッドウォーターを汲んでいる時に出会ったおじさんに、


「君たちはそんなに湧き水が好きなのかい?それならパンサーメドウズがシャスタで一番美しい場所だから、是非行ってごらん」


と教えてもらったこと。


サクラメントリバーですでに度肝を抜かれていた私たちは、
この水よりさらに綺麗な湧き水があるなんて!
と、早速その足で訪れたのですが、いざ山に入るとあいにくの霧。
なんとか水が湧いているところまで行ってみたかったのですが、濃い霧のおかげで10m位先までしか見えません。



キャンプしていたおじさんに話しかけてみたものの、イマイチ話が通じず。
しかも話の途中でハッとした顔で森を指差し、


「湧き水か?湧き水はどこだろうな。俺はそこを知っているぜ。でも忘れたかもしれない。トレッキングをしたいのか?でも今は、、おお、今そこに精霊がいたぜ…。スピリチュアルだぜ…。」


ええ??!と思って話を続けるも、しばらくするとまた話の途中で精霊をすぐに発見してしまうおじさん。



悪い人ではなかったのですが、説明もよくわからないし日も沈みかかっていたので、湧き水や高原植物の生息している場所までたどり着くことができませんでした。
残念。






シャスタの温泉。酸性泉です。
施設内写真撮影禁止だったので写真はありません。


町から車で15分くらい走った森の中にあるこの施設にはティピがいくつか立っていて、そこに宿泊することも可能。
ほかの建物もすべて木造の有機的な建築で統一されています。


料金は結構高くて、バス&サウナの利用でビジターは30ドルぐらい(住人はもっと安い)しますが、その価値は十分にある温泉施設です。


通年営業しているようですが、天候による変更もあるそうなので事前にHPで確認してから行く方が無難だと思います。予約も可。



予約しないで訪れた場合、まず受付で個室の空きを確認してから、空いていたら中に案内されます。
日本人の利用者も多いためか日本語での案内メニューもありました。


受付をした後で体にまく用の薄い布やタオルを渡されると、中では一人ずつ浴槽のある個室と、共同のサウナやテラスが利用できます。


個室の部屋のバスタブにはたっぷりと源泉が注がれていて、裸で入ることができます。
体や髪は共同のシャワースペースで洗うようになっています。
施設内は清掃が行き届いていて清潔に保たれています。


そして、水風呂の代わりとなるのは横に流れる天然の小川。
施設内を移動するときにはみんな渡された薄い布を巻いていますが、小川は裸で泳いでも大丈夫!
温泉やサウナで汗をかいた後に裸で綺麗な川で泳ぐと最高に開放的な気分になります。


硫黄臭がするヌルヌルとした気持ちのいい温泉に使って小川で泳ぎ、サウナで汗をかいて小川で泳ぎ、テラスで休んでまた小川へ。


海外の温泉にありがちなプール感覚の温泉ではなく、しっかり裸で湯に浸かれるのが最高でした。





また、ここはヨガやスピリチュアル系のリトリートなどにも使われているようで、日本人の姿も多かったです。


ちなみにサウナは共同なのですが、どこの国でもおじさんのサウナでのリアクションは万国共通なようで、

「Hoou---!Huuuuu! 」


とやたらと激しい息づかい。
場所が場所なのでおじさんも座禅を組んだり、ヨガのポーズをとったりしています。

全裸で。


日本人のスピリチュアルなおばさまの真横で全裸のおじさんが四つん這いでポーズをとっている様はまさにカオス。


めっちゃ面白かったです。






なんか、マンガみたいなんですよね。アメリカの日々って。
また行きたいな。

2015年12月18日金曜日

マウントシャスタの麓では、湧いた水が小川になっていた

Sacramento River(サクラメントリバー)の源流

アメリカ大陸西海岸の縦断。
バンクーバーからサンフランシスコ目指しての南下が続きます。

サクラメントリバー


ポートランドとサンフランシスコの間にあるレッドウッドも魅力的でしたが、私たちが立ち寄ったのはマウントシャスタ。



マウントシャスタはカルフォルニア州の北に位置する、富士山に似た美しいシルエットを持つ名峰。
標高は4327m。

それまでに持っていたシャスタ山のイメージといえば、ネイティブインディアンの聖地で、スピリチュアルなパワースポットとか、そういった類のもの。UFOもよく見えるとか。



自分たちの周りにはシャスタを訪れたことのある人はほとんどいなかったのですが、唯一のシャスタ経験者である知人、長野県大鹿村に住むヒッピーの方に聞いた話では、

「シャスタはね〜地底人がいるんだよ。シャンバラにつながっているんだ。」

というものでした。
地底人の住む山、シャスタ山。
言葉の響きだけでも魅惑的なミステリー感が満載で神秘的です。



そんな話を聞いていたので、不思議な魅力に溢れていて綺麗な場所なんだろうなあとは思っていましたが、それまで特に気にかけてはいませんでした。

しかし、旅のルートを調べている時にインターネットで見つけた水に関するある情報が、私たちの気持ちを固めました。



その記事は英語でこう書かれていました。



”シャスタはクリスタルガイザーの取水池にもなっていて、水の聖地でもあるんだよ。
シャスタ山の雪解け水が湧きまくっていて、クリスタルガイザーの小川があるんだよ。
川の水が全部湧き水で最高に美味しいんだよ。”



湧き水の川??
川が全部湧き水ってこと???


湧き水が大好きな私たちにとって湧き水の小川なんて、子どもの頃夢見たお菓子の家ぐらいの価値があります。


湧き水の川…そこは、どうしても訪れたい!



そう思って、レッドウッドを諦めてシャスタに立ち寄ることにしました。




その湧き水の小川があるのはシャスタの町にある公園、シャスタシティーパークの敷地内。
500km先のカルフォルニア湾まで続くサクラメントリバーの源流です。


公園に掲示されていた看板


事前に参考にしていたウェブサイトの情報では、

”その公園にはスクワッター(不法占拠者)がいますが害は無い人たちです。ただ、彼らがそこにいるということを理解しておいてください。”

と書かれていました。



北カルフォルニアのパワースポットだし、フラワーチルドレンがそのままスクワットして住んでいるのかなあと思っていました。


公園に入るとテントやティピがいくつか立っており、簡素ながら洗い場や調理場など所々に生活の痕跡が見られ、まるでお祭りのテント村のよう。


そして、そこに住んでいるスクワッターたちは、ある意味想像通りでしたが、少し予想と違いました。
思っていたよりも若かったのです。


今まで出会ってきたヒッピーといえば、1970年代に若者だったお爺さんお婆さん世代だったのですが、そこにいたのは20歳くらいの 男の子や女の子達。


そう、新世代のヒッピー。
年下です。
この人達はおそらく90年代に生まれはずなんだけど、土地の持つ雰囲気がそうさせるのか、はたまた遠くから集まってきたのか、時代は違っても同じような思想を持っていることに驚きました。


少し彼らと話すと、若干フワフワしていましたが美味しいプラムやチョコレートをくれて、笑顔で長いハグをしてくれました。


同じスクワッターでもヨーロッパにいる人たちとは住環境が全然違いますね。
湧き水の小川の横に勝手に住んでいてもお咎めがないあたりに、アメリカの懐の深さが垣間見れました。






さて、お目当の小川。サクラメントリバーです。

岩の隙間から溢れる湧き水


水量たっぷりの澄んだ水がこんこんと湧き、するすると流れています。
小川の側にはニコニコしながらずーっと流れを見守っているおじさん。
地元の人たちも、若いヒッピーも水を汲みに飲みに来ています。


私たちも大きなタンクと水筒を持って、水が溢れるように湧いている岩の隙間へ。
まずは直接水を手にすくい、飲んでみます。



…美味い。

うますぎる。

なんだこれ。

あまりの水の清らかさに感動。

身体中に水が染み渡って行くのが感じられ、溢れてくる多幸感。

長時間のドライブの疲れは一瞬で吹き飛び、生きててよかった、と思いました。






そんなわけで、私たちはあっという間にシャスタの虜になってしまいました。
圧倒的な湧水量に、その水の透明度に、そしてシャスタにいる人たちにすっかりやられてしまったのです。


ここでは都会に住んでいる時には感じられないイマジネーションやインスピレーションが自然と湧いてきます。
また、この場所では妖精や天使を見た人がたくさんいるそうですが、そういう人がいるのもわからなくもないような気持ちのいい特別な雰囲気。


京都にある大好きな湧き水掛け流し銭湯、芋松温泉の湯船に浸かっている時も、綺麗な水面をぼんやり見つめている時に色々閃きましたが、ここはそのスケール大きいバージョン。


この水、最高。

シャスタ、噂に違わぬ不思議な場所です。




















2015年12月13日日曜日

オレゴンのプリミティブなキャンプ場

Shady Cove Campground (シェーディーコーヴ)

ポートランドの街から約2時間(90マイル/145km)でアクセス可能な穴場のキャンプ場です。


行き方ですが、まずはポートランドから5号線を南下してSalemという街を目指します。
Salemに入ったら、22号線を左折するようにして東へ進み、Mehamaの方へ。
のんびりした小さな集落を幾つか越えていき、Gatesで左折します。方角的には北の方。


Gatesのあたりはドライブインぐらいしかなく、左折する交差点も看板は一応でていますが特に目印もないので、もし道に不安があるのならばこの辺りで


「North Fork Roadを通ってShady Cove Campgroundに行きたいです」


と聞くと間違いないと思います。


North Fork Roadは穏やかな古い森が続く綺麗な山道。
しばらく行くと砂利道(NF2209からNF-2207)になり、そのまま進むと右手に看板を見つけることができます。

乾季は山火事に注意が必要。


このキャンプ場にはトイレはありますが、電気も水も来ていないのでかなりプリミティブなキャンプを楽しむことができます。


1サイトの利用料金は8ドルで、キャンプサイトのスペースは全部で13個。
予約不可で早い者勝ちです。


支払い方法ですが、管理人は常駐していないので、自分で利用届けに名前を書いて所定のボックスにお金を入れるだけ。


予約ができないので現地まで行って満員だったらどうしようと不安でしたが、キャンプ場に掛かっている橋を渡った奥に、さらにプリミティブなサイトもあります。
こちらは定員もなく無料で自由にキャンプすることができるので、万が一キャンプ場がいっぱいでも安心です。


でも、Shady Cove の方がテーブルもあるし地面はフラットだし、何より明るくて安心感があるので8ドル払う価値は十分にあると思います。


利用している人たちは静かにキャンプを楽しんでいる家族連れが多く、年齢層は高め。


通年オープンしていて、7月から9月がベストシーズンのようです。
私たちが訪れたのは6月でしたが、暑くもなく寒くもなく快適でした。


キャンプ場のあるこの地域はOpal creekという場所で、後から知ったのですが昔はオパール鉱山が近くにあったようです。
かなり気になるので、次回訪れたときには鉱山跡まで行って鉱物採集したいです。


近くには川の水を利用した天然プールやハイキングコースもあり、深い森を散策することもできるそう。

キャンプサイト。地面は砂利だけどフラット。




キャンプ場の横を流れている川の水がとにかく美しいので、みんなそこで泳いだり釣りをしたりしている。


ダートの道を走ってきたせいで砂埃を身体中に浴びていたので、まずはザブンと川に飛び込み、ひとしきり泳ぐ。
体が冷えたらハンモックで日光浴。
温まったらまた川へ。


ビールを片手に至福のルーティーンを繰り返しました。


英語ではClystal clearと表現されていた水は、底まで見えるほど澄んでおり、薄いエメラルド色。


綺麗な水のそばでゆっくりとした時間を過ごすと、体も心もゆるゆるとほどけていき、この場所に来れたことが嬉しくなった。


抜群の透明度。




日が沈んでくると、夕暮れの空がエメラルドの水面に映り、まるでオパールのような遊色に変化していく。



この辺りが鉱山跡だということを知らなかったので、
「ああ、この時間のこの色がオパールクリークという名前の由来なんだなあ」
と勝手に思い込みながら、ゆっくりと変化していく空と水面を暗くなるまで眺めていた。





夕暮れ時のとろけそうな色。


夜は星を見ながら焚き火にあたり、ハンモックで眠る。


電気も水もないシンプルな場所だけど、何も必要にならない空間。


このぐらいのキャンプ場がもしかしたら一番贅沢なのかもしれないですね。

2015年12月8日火曜日

ポートランドの湧き水と、お値打ちなスーパーWINCO

全米で住みたい街ランキング1位・ポートランドへ

カナダ・バンクーバーでの滞在を終えた私たちは、サンフランシスコを目指してアメリカの西海岸を南下し始めました。
移動手段はアムトラック(Amtrak)を利用して、電車での国境越え。

バンクーバーからシアトルまでの約4時間の道のりは海沿いを走っている時間が長く、途中で水鳥の群に遭遇したり、穏やかな海を眺めていたりしているうちに、気がつけば駅に着いていた。



アメリカでの最初の目的地はポートランド。

ポートランドといえば、環境に配慮した都市設計であったり、ZINE専門の書店、毎週末開催されているオーガニックマーケット、キャピタリズムよりローカリズムの方がクールだとされている風潮など、先進的な考え方を持っている人たちがたくさん住んでいるじゃないかという期待をしていたので、日本にいる時から訪れるのを楽しみにしていた。

そして、どうやら水がいい土地らしい。


シアトルでレンタカーを借りて、ポートランドまでは5号線をひらすらまっすぐ3時間。
慣れない右ハンドル、時速120kmでも追い抜かれる高速道路に何度も肝を冷やしながらも、なんとか街に辿り着いた。



ポートランドでは、バンクーバーでお世話になった友人が紹介してくれたカナダ人の女の子、レベッカの家に滞在させてもらうことになっていた。

レベッカはカナダ人なんだけど、現在ポートランドで仕事をしていて、趣味はロッククライミングやサイクリングというエネルギッシュな女性。
山に遊びに行って額から血を流して帰宅することもあったが、そんなときでも満面の笑顔で、ホスピタリティーに溢れた人だった。

彼女の同居人がたまたま私たちが滞在する3日間の間、友達の家に泊まりに行くことになっていたので快く部屋を提供してくれた。


近所のイタリアンでレベッカと一緒に夕食をとり、ポートランドの街のシステムや、人生で大切な要素など、未来を想像しながらいろんな話をして気持ち良く酔っ払った。

オススメの地ビール、本屋や古着屋、トレイルコースにレストランなど、レベッカの勧めてくるものはどれも魅力的。



ちなみにいくつかご紹介すると、

Good Breweries

-Hair of the Dog
-Burnside Brewing co
-Ecliptic Brewing


These Shops

-Powell's Books      (本屋)
-Buffalo Exchange  (古着屋)
-Canoe (Local Design)
-Everyday Music   (CD) 
-Salt & Straw     (アイスクリーム)


Hiking Trail

-Wildwood


Brunch/Breakfast

-Swee Dee Dee
-Screen Door
-Maurice


などなど。

ん〜。。全部行きたかった!!
どのお店もユニークなコンセプトで、HPも可愛い。

これは残念だけど滞在日数足りないな…と思いながら、その日は就寝。






いざ水汲みへ

そして翌日。
レベッカにもらった地図を頼りに早速街へ向かった。

ポートランドの街の地図を見ていると、街のあちこちに”Drinking Fountain”(水飲み場)のマークがある。それもかなりの数。

まさか、これ全部が湧き水・・?

と期待して水を飲んでみたのだが、水飲み場の水はしっかりカルキの臭いがする水道水だった。
なんでもポートランドの水道水は安全で安価らしく、

「ペットボトルの飲料を購入するよりも、喉が乾いたら自分の水筒に水を汲んで飲んで、環境に負荷をかけないようにしよう!」

という主旨の運動が学生中心に盛り上がってるようだった。

安全な水道水もそれはそれでありがたいんだけど、私たちはもっと美味しくてフレッシュな水が飲みたい。
事前に湧き水の情報は仕入れていたので、街をじっくり見ることもなく、すぐに湧き水ポイント目指して車を走らせた。





その名もなき湧き水の場所は、ポートランドの街から海へと向かう26号線の途中で、小さな2つの集落、ティンバーとエルシーのちょうど中間ぐらい。


のどかな山道を1時間ほど走ると、右手に”Drinking Water”と書かれた青い看板を発見!

路肩のスペースに車を寄せて、早速湧き水の元へ。


湧き水、発見


冷たい水がジャブジャブ勢いよく流れ出ていました。
口に含むと、新鮮な湧き水特有の甘みが感じられ、口あたりもまろやか。
日本人にとっては馴染みがあり飲みやすい軟水。

うん、これは美味しい!
これで作る地ビールはそりゃあ間違いなく美味しいはず。


よく見ると車線の反対側にも水が汲めるポイントがあり、ちょくちょく地元の人がペットボトルを持って水汲みに来ていました。

取水できるすぐ裏の森には囲いがあり、地元の人々がこの場所を大切に守っていることが伝わってくる。



水源を守る看板


満足するまで水を飲んだり浴びたりして、さらにタンクにもたっぷり水を汲めて大満足。

街からの距離も遠すぎず近すぎず、もしポートランドに住んだら毎週汲みに行けそう。












トラベラーの味方、スーパーWINCO!

いい水に出会えて気を良くした私たちは、この先のキャンプ生活に必要なものや食料を探しにポートランドへ戻った。

街中の幾つかのスーパーや、広場で開催されていたファーマーズマーケットを覗いてみたものの、思っていたより野菜の値段が高い。

ポートランドを含むオレゴン州は消費税がありません。0%です。
それでも野菜は高い。レベッカの家の近くのオーガニックマーケットは確かにキレイで美味しそうな野菜が並んでいるのだけど、気軽に買える金額ではありません。

これは困ったと車を走らせ続けていると、気がつくといつの間にか隣町のビーバートンに来ていて、そこでWINCO(ウィンコ)というスーパーを見つけました。

ここが当たりでした。

店内の商品は全て量り売り。野菜はもちろん、ナッツやスパイスなどの調味料油類に至るまで、全て欲しい分だけ購入可能。

オーガニックもあればそうでないのもあり選択肢が豊富。

しかも安い!
ポートランドのオーガニックマーケットの半分くらいの金額です。

各種スパイス類が並ぶ


ビーバートンの街自体は、ポートランドのおしゃれさはずいぶん薄れて、アメリカの片田舎という雰囲気。

WINCOに来ているお客さんも、だいたいみんな丸かったりしていい感じの和み感。

それが逆に心地よく、欲しいものを十分に吟味して買い物をすることができました。



ピーナッツバターがその場でできる!

結局レベッカのオススメしてくれたたくさんの素敵なお店には、時間の都合もありほとんど行くことができず、私たちにとってはWINCOのコストパフォーマンスだけが強く印象に残った滞在でした。

次回訪れるときには、ゆっくり街も見て回りたいなと思っています。
(ちなみにポートランドにもWINCOはあります)




ポートランドは街も人も、新しい文化が現在進行形で進んでいる魅力に溢れていました。

でも、実は隣町のビーバートンってポートランドも湧き水も近くて、何よりWINCOがあるので、生活費を抑えて滞在を楽しみたい人には穴場のエリアだと思われます。


そんなわけで、一番のオススメはビーバートンです!

2015年12月4日金曜日

バンクーバーの源泉掛け流し温泉

Skookumchuck Hot spring (スクッカムチャック ホットスプリング)

バンクーバーの源泉掛け流し温泉の紹介です。

北東北・北海道を旅した後に訪れたカナダ・バンクーバー。
訪れる前に読んでいた雑誌”スペクテーター”の情報で温泉があることを知りました。
しかも、海外にしては珍しく、水着を着て入るプールタイプのものではなく、湯船があって裸で入れる源泉掛け流しとのこと。

しかもその温泉は深い森の中にあり、ファースト・ネイション(カナダの先住民族)の人々が集い、他部族間で共有しているスペシャルな場所なんだとか。

温泉や湧き水を探して人里離れた奥地へ行くと、そこは大抵その土地の先住民族が見つけた場所であったり、伝承が残っていたりします。
北海道ではアイヌ民族が多くの温泉地を発見していたし、中南米においてもマヤ民族がセノーテと呼ばれる湧き水のある地域に文明を形成しています。
水と人間の長くて深い関係を感じます。


アクセスはバンクーバーからは車で行くしか方法は無いようなので、現地在住の友人カップルに連れて行ってもらいました。

街を出て、ウィスラー方面に99号線を北上していきます。
もし湧き水があれば汲みたいと、友人カップルにリクエストしていたので、井戸があるキャンプ場に途中で寄ってもらいました。

ポンプでくみ上げる。敷地内に水汲み場がいくつかある。

正確な場所を忘れてしまったのですが、バンクーバーとウィスラーの間で、バンクーバーから20分くらいだったと思います。

早速井戸水をいただきます。

うん。ウマイ!

特別美味しいわけではないものの、フレッシュな水を飲むと気持ちが軽くなります。キャンプ場も適度に整備されていて、自然が大切にされているいい森でした。

そのあとも北上を続け、ウィスラーを超えると右手に川のような湖、リロオエット湖が現れます。
99号線は川沿いから離れるように、進行方向でいうと左のほうに道がつながっているのですが、右折するようにオフロードの湖沿いを進んでいきます。


脇道の入り口。ここからダートが続く。



この看板が目印。目指すはここから48km先。

看板を確認して目的地である「Skookumchuck(スクッカムチャック)Hot spring」へ車を走らせます。
これより先にはもちろんお店もないので、事前に食料や飲み物を買い出ししておく必要があります。
この時点でバンクーバーを出発してすでに3時間。秘湯の予感に胸が高鳴ります。

そこからさらにダートを48km...。

連れて行ってくれた友人は釣り好きなので、道中の川や湖を見るたびに何が釣れるか教えてくれました。
ハードコアを聞きながら(釣り好きなひとになぜか多い)、1時間以上同じ景色の中を進んでいきました。

気がつくといつの間にか森の中に入っており、ついに到着。
途中水を汲んだり買いだしでスーパーに寄ったりしたので、トータルで4時間位かかりました。


到着。入り口のゲート。

ついに到着しました。
街から遠く離れた深い森です。
この場所はキャンプ場にもなっているようで、入り口付近には車を止めるスペースやテーブルなどが設置されています。

ゲートに掲げられている横断幕にはこの場所がファースト・ネーションにとってどういう場所なのか簡単に記されています。

それによると、この場所では自然からスピリチュアルなメッセージを受け取ったり、またメッセージを受け取る練習をするような場所だったそうです。
多くの先住民族の人々は厳しい環境下で生きてきた結果、自然に対して畏敬の念を強く持っていたと想像できます。

今の私たちとは世界の見え方が全く違っていたのは当然ですが、地面から程よく気持ちのいいお湯が沸いているなんて、奇跡の場所だったはず。

そんな遥か昔の人々と、今の自分の見える世界は違っていても、温泉に入ってほっこりする気持ちは同じようなもんだと考えると、温泉ってすごい!と思います。
猿や熊も好きですしね。


そんな壮大な古代のロマンを感じながら、いざ入浴です。

手前の湯船。一応シャワーもある。


湯船は全部で5個くらいあります。グループごとに入れるように屋根があったり、塀があったりして軽く区切られています。脱衣スペースには服を掛けるフックなどもありました。

先客は一人だけいて、ゆっくり読書しながら温泉を楽しんでいました。
にっこり笑って挨拶を交わし、私たちも念願の温泉に浸かります。

4時間のドライブで凝り固まった体を(運転はしてない)、ゆっくりとほぐしていきます。
湯温はぬるめで少しとろみがあり、長風呂向きです。

森の中にある無料の厳選掛け流し。
なかなか遠かった分、達成感と満足感を十分に感じながらリラックスできました。



屋根もあり、適度に他の湯船と距離がある。

そのまま寝てしまいそうな気持ちいい湯温なのですが、蚊が多かったです。
私たちが訪れたのは6月。季節的なものなのか、通年を通してそういう場所なのか…

4時間運転を頑張ってくれた友人が蚊に吸われやすい体質で、蚊の群れに襲われていました。
あんなにがんばって運転してくれたのに、その上…
なんだか申し訳なかったですが、どうすることもできず見守っていました。私たちの分まで蚊を引き寄せてくれていて、複雑な気持ちでなんどもお礼を言いました。



この近くではやらないでね。のサイン。

日本の温泉のように芯から温まったり、肌がツルツルになったりといった効能は弱めでしたが、自然の中で 古代の時に思いを馳せながら湯に浸かるのはよい経験でした。

帰り道は再びハードコアを聞きながらぐっすり寝ていましまいました。
本当にありがとう!


2015年11月28日土曜日

旅する携帯電話 


煩わしい時もありますが、通信手段の中心はやはり携帯電話。
便利ですよね。

日本で暮らしている時は特にこだわりもなく、普通にI Phone(ソフトバンク)を使用していました。
通信費が高いな、とは感じていましたが、それが当たり前だと思考停止していました。

携帯電話を持つようになった頃、たしか高校生ぐらいの頃は ”機種代0円!” みたいな広告をよく目にしてたのに、気がつけば携帯電話の本体価格が何万円もするようになっていました。
高性能だし、仕方がないのかな…と思っていましたが、やっぱり携帯に5万円は高すぎると思います!



この春から始まった移動生活をきっかけに通信手段を一新したわけですが、私自身一昔前の海外旅行では携帯電話を全く使いませんでした。

しかし、今回の旅では大活躍でした。車移動が中心の旅だったので、携帯がカーナビの役割を果たしてくれましたし、インターネットに繋がっていることで情報収集のためにネットカフェに行く必要もなくなったので本当に助かりました。

日本、カナダ、アメリカそしてメキシコと移動してきたわけですが、それぞれの国で通信会社のシステムは異なります。同じ端末で過ごすことでそれぞれの国の特徴や、サービスの質に大きな差を感じました。安くてシンプルな方がいいですね。


私たちの使用用途は電話とメールでの連絡、カーナビ、あとは情報集めです。
Miaが吟味を重ねた結果の端末、通信会社、アプリと、2015年現在のそれぞれの国のシステムについてご紹介します。





端末

まずは端末について。
日本で使っていたIPhoneには当然SIMロックがかかっているので、海外では使用できません。
海外でSIMフリーの端末を購入することももちろん可能ですが、使い勝手を考えるとどうしても日本語表記が良かったので、ここはMADE IN JAPNの端末購入を選択しました。

そんなわけで、旅を共にする端末としてFREETELのPriori2を選びました。現在は販売終了してPriori3になっています。
2015年3月当時で本体価格は9800円。そこからさらにキャンペーンを使用して2000円引きで購入しました。

もう1台候補の端末(NOKIA)があったので、実際にヨドバシカメラに行って感触を確かめてから購入を決めました。
その当時(と言っても今年の3月ですが)の私たちにとっては衝撃的だった、契約期間の縛りがないことがFREETELを選ぶ決め手になりました。

それまで使っていたIPhone5に比べるとカメラの画素も荒く、スピーカーの音質もタッチパネルの操作感も劣りますが、通話やインターネットなど必要最低限の操作は問題ありません。
たまにIPhoneを触るとそのスムーズさに惚れ惚れしてしまいますが、FREETELの端末も十分に役割を果たしてくれているので満足しています。
値段がIPhoneの5分の1以下ですからね。

OSはAndroidです。





IP電話業者

端末を手に入れたら次は、通信会社選びです。
それまでは特に何も考えず、自動的にソフトバンクに月々1万円近く支払っていましたが、SIMフリーの端末を手に入れたことで、日本独特のシステム・複数年縛りからも解き放たれ、自由に会社を選択することができました。

通話とインターネットを分けて契約することにした私たちは、まず最初に今後使用する機会が増えるであろう国際電話業界から、ブラステルを選びました。

ブラステルのシステムですが、端末から専用アプリをダウンロードすることで「050」で始まる番号が割り振られます。料金体系はプリペイド式の課金システムです。
海外で使用できるうえに通話料も安く、プリペイド式で無駄がありません。


料金は使用する端末で変わってきますが、FREETELの端末を利用して通話すると、

メキシコから日本の携帯電話にかけた場合、1分あたり52円。固定電話だと42円。
アメリカから日本の携帯にかけた場合、1分あたり21円。固定電話だと11円。
日本国内から日本の携帯にかけた場合、1分あたり15円。固定電話だと3円です。
050の番号を持っている人との通話は無料です。

安いですよね。
いつの間に海外通話ってこんなに安くなっていたのでしょう。

日本にいる家族との連絡手段として、skypeのような無料のソフトを使うことも考えましたが、結局IP電話で連絡を取っています。家族にとっても今までどおり携帯や家庭電話でそのまま話ができる方が簡単みたいです。
skypeのセットアップやカメラの購入など、簡単なんだけど抵抗がある場合もありますからね。


フリーテルとブラステルと名前が似ているので、内容を理解するのに少し時間がかかりましたが、2社とも私たちのニーズにぴったりのサービスを提供してくれています。





SIPアプリ

IP電話の通話に必要なアプリですが、最初はブラステルが推奨している無料アプリ「050Free」を使用していました。
しかし、使っていくうちに通話時のタイムラグが気になりだしました。また、着信ができないということが続いたのでアプリの変更を検討。

その結果、有料アプリの「Acrobits Softphone」に変更しました。
料金は7ドル弱。
このアプリの良い点は”通話時のタイムラグがない”という個人の感覚的な部分になってしまうのですが、以前使っていた050Freeと比較すると大きく通話品質が向上しました。
有料ではありますが値段以上の満足度を得られるアプリです。

Acrobits Softphoneに変更してからは音声通話の際の違和感がなく、普通の携帯電話に近い感覚です。受け手(日本の家族、友人)の反応も上々です。

iOSとの相性がいいという記事を見ますが、Andoroidとの相性も良好。なんの問題もありません。






各国の通信事情・契約システムについて

日本の場合 (インターネット含む) 

インターネットを使用する場合、日本国内では海外に比べてWifiを拾うのに困りました。
よく「Wifiあります」とソフトバンクの犬が言ってるのぼりは見かけたのですが、実際は飛んでないことが多かったです。そののぼりがある店や施設の人もよくわかってないことが多く期待したのに使えないということが何度もありました。


マクドナルドやスターバックスではどこでも飛んでいるのですが、そもそもそういう店がない場所を選んで旅や生活をしていたので、自力で通信手段を確保する必要がありました。


短期間Wifiのモバイルルーターを持つことも考えましたが、通信費を抑えつつ、持ち物を最小限にしておきたかったこともあり、DMMobileのデータSIMプラン(8GB/2140円)に加入し、端末のテザリング機能を利用してWifiルーターの代用としました。

DMMのサイトでは8GBあれば、1ヶ月の間で毎日1時間程度は動画を見たり、Skypeをしたりしても大丈夫!と譜っていました。
しかし実際は30分ほどのSkypeで1GB近くデータ消費してしまいました。

動画を見たりストリームングサイトで音楽を聴くとすぐにデータ容量は減ってしまいましたが、Macbookで必要な調べ物をしたり、メールで連絡をするには不便しませんでした。

IP電話の電波ですが、FREETELもDMMもDocomoの回線を使用しているようです。電波が悪くて困ることはほとんどありませんでした。





カナダの場合

続いて海外の事情です。
日本を出国して最初に訪れたカナダ・バンクーバーでは、フリーWifiが街のいたるところに飛んでいて随分助かりました。

携帯電話端末は2人とも1人1台ずつ持っていましたが、2週間弱の滞在だったので1台はSIMカードを買わずにWifiを拾って過ごしました。
そして、必要な連絡がいつでもできるように1台だけSIMカードを購入することにしました。

まずは最初に、バンクーバー在住の友人(日本人)が教えてくれた日本人経営の携帯ショップに行ってみました。


そこはまさに日本。必要以上に情報が多く、ややこしい話をたくさんされ、選択肢が多すぎる上に訳がわからない料金が細かく散りばめられています。わけのわからないまま言われるがままにサインしてしまいそうでしたが、段々腹が立ってきて悲しい気分になったのでここは却下。
言葉は通じるけど気持ちが全く通じませんでした。


次に訪れたのはカナダの大手通信企業のRogers。
こちらは先ほどのザ・日本の携帯屋さんと打って変わり、説明もシステムもとてもシンプルで分かりやすかったです。
カナダ人の英語は慣れるまで聞き取りずらかったのですが、しっかり気持ちのコミュニケーションが取れる対応だったのでここで契約。


海外で携帯を使用する場合、昔は今ほど携帯電話とインターネットがリンクしていなかったので単純に「60分で◯◯円」みたいに、テレホンカードを買うように簡単に使用できていました。

今は通話とデータで料金体系が2つになるので、少しややこしくはなりましたが、それでも日本のシステムと比べると雲泥の差です。
通話プランとインターネットのプランとSIMカードの代金をを単純に足し算するだけです。分かりやすいですね。

SIMカード本体(10ドル)と契約手数料(25ドル)、20ドルのTalk,Text & Internet Planを選んで税金込みで合計61ドルでした。

ちなみに最初に行った日本人経営の携帯ショップでは同じ内容で100ドル近かったです。なんでその金額になるのか説明が複雑すぎてわかりませんでしたが。





アメリカの場合

アメリカは1週間の滞在で、かつほとんどキャンプをしていたので、必要な時だけ野良Wifiを拾ってやり過ごしました!
目的地までの地図は事前にプリントアウトしておきました。





メキシコの場合
 
そして現在メキシコ。
カナダと同じように1台はSIM無しで、もう1台はこちらの最大手TELCELのSIMカードを利用しています。
私たちが使用しているSIMのプランは1ヶ月100ペソ(750円)で、容量が無くなったら追加で購入することができるようになっていますが、今の所ほとんど追加無しで過ごせています。

メキシコでは日本でいうところのLINEみたいなアプリで「Whats App」というアプリが一般的です。携帯端末のメッセンジャーサービスでは世界1位のようです。中国で人気の通信アプリはWechatでした。各国人気のアプリが違うのが面白いですね。

メキシコでは(アメリカでも)大抵みんなWhats Appをインストールしてやりとりしているので、友人同士のコミュニケーションは無料でできています。

SIMカードは街中のTELCELのお店で購入できるうえに、こちらのコンビニのOXXO(オクソ)でも購入可能です。
ちなみにまだ購入したことはありませんが屋台でも売ってます。SIMカード。





通信費に限って言うと日本が圧倒的に高額で、さらにシステムが複雑です。
携帯電話の手続きに関してはうんざりすることが多かったですが、それは日本特有だったんですね。
しかしながら日本でも少しずつSIMフリーの携帯端末も一般的になってきており、選択肢は増えました。
あとはWifiを使用できる範囲が実用的になればなお嬉しいですね。



2015年11月22日日曜日

テキスキアパンで鉱物採集

オパール (Opal)

トラコテの水を汲ませてもらった後は、そのままケレタロへ。

グアナファトで鉱物を探していると、多くの人にケレタロに行くことを勧められました。
なぜかというとケレタロには石を磨いたり加工したりしてくれる職人がいるとのこと。
そのためにメキシコ中部高原地帯の鉱物が集まってきているという話を聞きました。

ケレタロはグアナファトに比べると随分大きな街なので、ある程度事前に当たりをつけてから訪れたかったのですが、インターネットで調べても鉱物を磨いてくれる店や人といった情報は出てきませんでした。
メキシコで何かモノを探す時、インターネットでは見つからないことが少なくありません。それでも直接人に聞いて、少しずつ範囲を狭めていくと最終的には見つけることができます。時間と手間がかかりますが見つけられた時の喜びも格別です。
街のどこに石を扱っている職人がいるのかは行ってみないことには分からない状態でしたが、口コミを頼りにケレタロへ向かいました。

ケレタロに着き、まずは宿泊先であるAir bnbのオーナーに街の様子を聞き、目星をつけて街の中心へ。
そしてセントロでまた何人かに聞き込みをすると、アルテサニアと呼ばれている人たちが手作りの民芸品やアクセサリーを売っている屋台通りがあることが判明。
言われた通りそこに行くと、確かにマクラメや石を使ったハンドメイドな品々が並んでいます。
順に話を聞いていくと、奥の方に石を磨いてくれるおじさんを見つけました!
口コミの情報は正しかったです。遠かったけど、確かに居ました。

グアナファトでいろんな人が言ってた”石を磨いてくれる人”って、このおじさんのことだったのか、それとも他にもいるのかは分かりませんが無事に一つ目の目標が達成できました。



そして翌日。

私たちには原石の加工を依頼することと、もう一つ、ケレタロを訪れたい理由がありました。
それはケレタロには今も稼働しているオパール鉱山があるということです。

日本でも昭和の時代にはたくさんの鉱山が稼働して日本の経済を支えていましたが、エネルギー需要が変化した影響もあり、現在日本で稼働している鉱山は両手で数えられるほどしかありません。

そのため現在の日本では鉱物採集をするとなると、鉱山跡を訪れることになります。
鉱山跡は廃墟となっているところが多く、人もほとんど入っていないのでその雰囲気は独特なものがあります。
昔から鉱物採集を続けておられる方に話を聞くと、鉱山で働いている人との触れ合いがあったり、石の話を直接聞く機会があったりと、羨ましく思っていました。

なんといっても現役の鉱山には、昨日まで出ていなかったものがもしかしたら今日出てくるかもしれないという期待感があります。昔の日本ではそれを感じながら鉱山を訪れていたのではないでしょうか。


日本での鉱物市場は、各地で定期的に開催されているミネラルショーが最も大きな展示会です。国内の石屋や、インドやアフガニスタン、南アフリカなど世界各地から現地の鉱物が持ち込まれ販売されています。
しかし、いくつかのミネラルショーを見て回ると、出店している店も売っている鉱物も大体同じというようなことが多々あります。
特に日本産の鉱物は掘り尽くされている感が強く、新たに状態のいいものが発見されてそれが市場に並ぶということはかなり確率が低い状態です。皆無と言ってもいいでしょう。

どの鉱物にも言えることですが、状態の良いものは市場に出るとすぐに個人のコレクターの手元に渡りますし、新たに鉱物採集をして、それを売っている人の数というのも限られています。
つまり、総数が限られている上に循環が滞っている状態のように感じます。

しかし、ここメキシコではまだまだたくさんの鉱山が稼働しているため、様々な鉱物が日々入れ替わって出回っています。
つまり、まだ誰も目にしたことがない鉱物が今日も掘り出され続けているのです!



さてそのオパール鉱山ですが、ケレタロから1時間ほど離れたところにあるテキスキアパンという小さな街の近くにあります。
鉱山の近くまで行き人に尋ねると、そのあたりでは有名なようで鉱山ツアーを主催している民家の写真を見せてくれました。

テキスキアパンのさらに奥にある村、トリ二ダッドです。

写真で見た通りの民家の前に車を止めると、犬が出迎えてくれました。


大きいけど穏やかな犬。怖くない。



おばさんが出てきて、中に案内してくれました。
壁には日本の雑誌の記事なども掲示してあり、ケレタロやテキスキアパン発のエクスカーションツアーとして紹介されていました。

建物の中には至るところに石がゴロゴロしていて、すでにオパールがチラチラ見えています。
その一番奥の部屋ではおじいさんがオパールを磨いていました。


モーターを改造したような研磨機。



石を磨くには目の粗いヤスリから磨いていき、少しずつヤスリの目を細かくしていき、最後にダイヤモンドペーストで表面を仕上げます。
熟練の磨きっぷりがオパールにさらなる輝きをもたらしています。



オパールのルース小。このサイズは5mm〜。



磨きの見学が終わると、オパールを展示販売している部屋に案内されました。
まばゆい輝きを放つオパールに目を奪われてしまいます。



深みのある緑と青。吸い込まれそう。



見学しながら職人さんと話しているとなんとこの方はこの道56年。半世紀です。
なかなか商売上手で、日本人がここでたくさん購入して持ち帰っているようです。
辺境の村でも必ず日本人は来ていますね。
この3倍の値段で売れるんだから、安いよー。と言ってきます。



右上の部分がオパール。


しばらく待ち時間があり、その間に名前を書いて料金を支払います。
ツアーの料金は一人80ペソ。
壁に掲示してある雑誌の記事では50ペソですが、値上がりしていました。
メキシコの物価はこの10年で料理の値段や宿の値段など、倍近く上がっていることが多いです。
私たちは朝10:30からのコースに参加しました。


おばさんが手際よく参加者をさばきながら注意事項を説明してくれます。
「山にはトイレがないので出発前にはトイレを済ましてね。水を持ってない人はこれを持っていってね!」
と口を動かしながら、ペットボトルの水、拾ったオパールを入れるビニール袋を配り、石を砕く用のハンマーを車に積み込んでいました。

15人くらい集まったところでいよいよ鉱山へ出発です。
TOYOTAのトラックの荷台に10人くらいが乗り、私たちはその後ろから4輪駆動の車で山を登っていきました。


犬がひょこひょこ車についていき、たまに振り返ってくれる。



ツアーガイドの飼っている犬が車を追いかけて、山道をずーっとついてきていました。
可愛い犬に和みながら山道を登って行きます。
15分くらい山道を走っている間に、遠くからダイナマイトの爆発音が聞こえてきます。



足元の石、全てに可能性あり。



見学可能なエリアで車を降りて、一同車座になってオパールを構成する元素や、生成の過程などをレクチャーしてもらいます。
話の途中のクイズに正解するとオパールがもらえます。
その後、坑道を見学。岩壁のなかにもオパールがちらほら見えるし足元にもキラキラ見えます。
気になって話が耳に入りません。



オパール鉱山の歴史やオパールの性質、特徴について教えてくれる。



ハンマーを貸して欲しい人はここで借りることもできます。
結局私たちは説明の途中から、めぼしい母岩を見つけてはハンマーで砕き始めました。
足元のにたくさん落ちている石もよく見ればどこかにオパール質の部分があるくらい、オパールだらけです。



坑道。花火サイズのダイナマイト体験もあり。



そこからは小一時間ほど採集体験の時間でしたが、ガイドに
「もう帰るよ」
と声をかけられるまで一心不乱にハンマーを降り続けました。

結果は小さいサイズのものしか見つけることはできませんでしたが、日本で見られるオパールとは違い、美しい色のものをみつけることができました。

小学生ぐらいのメキシコ人の男の子も夢中になっており、いいのを見つけたら見せ合ったり、交換したり楽しみながら採集することができました。









オパールの美しさの魅力は、遊色効果と言われる虹のような色彩です。
遊色効果とは結晶の構造や粒子の配列に光が乱反射することによって起こる現象で、オパールの中にはあたかも宇宙に見える銀河のような輝きを放つものもあります。

販売されていたオパール。オパールは水分を含む鉱物のため、保湿のために
水を入れた瓶に保存されていることが多い。このオパールも瓶の水の中。



本当は遊色を含むオパールを見つけたかったのですが、とびきりなものはなかなか見つけられませんでした。
それでも、見つけたオパールの中にも角度によって少し遊色が見られるものもあり、傾けたり光に当てたありしてその輝きを楽しみながら下山しました。



採集したもの。遊色は見られないが透明度の高いオレンジ。

採取したもの2。丸みのあるフォルム。かわいい。


採集したオパールはすべて持ち帰り可能で、かなり満足度の高いツアーでした。
私たち以外は家族づれが多く、ケレタロ観光のオプションとして楽しんでいたようです。オパールはキラリと光るので子供も見つけやすく、なおかつ綺麗なので、興奮して楽しんでいました。

下山して最初の建物に戻ると12:30くらいだったので、大体2、3時間のツアーだと思います。
ガイドのお兄さんも優しいし、終始穏やかな雰囲気の中、オパールもたくさん見つけることができたので私たちはご満悦でした。



テキスキアパンも可愛い街で民芸品のレベルも高いので、ケレタロに行く機会があればテキスキアパン&オパール鉱山コースはかなりオススメです!

2015年11月16日月曜日

奇跡の水と呼ばれた湧き水

トラコテの水

メキシコに来てから、湧き水を探し続けるもののなかなか巡り会えない日々でしたが、ついに見つけました!

ようやく見つけたその水が湧いているのは、グアナファトとメキシコシティの間にあるケレタロという町の近く、トラコテという小さな村。

調べてみると、トラコテの水は世界三大奇跡の水と呼ばれていて、多い時には一日数千人もの水を求める人が列を作り、2〜3時間の待ち時間は当たり前とのこと。

なぜメキシコの片田舎に湧いている湧き水がそんなにも世界の人々を惹きつけたのかというと、飲むと腰痛やアトピー、喘息の症状が緩和され、エイズや癌など重い病気に対しても病状改善効果が見られる、という奇跡の水だそうです。
その奇跡の謂れは、その湧き水の土地の持ち主チャヒンさんの犬が怪我をした時のこと。



今から20数年前、トラコテに足を怪我して歩けなくなってしまった犬がいました。
不憫に思った飼い主は、何もしてあげることができない歯がゆさから、せめて綺麗な水を飲ませてやろうと思い、犬を抱きかかえて水場に連れて行き水を飲ませました。
すると、今まで歩けなかった犬が再び歩き出したのです。

この時は何が原因で歩けるようになったのか不思議に思い、
「この水は魔法の水なんだろう」と冗談半分に犬の回復をただ喜んでいました。
しかしその後も体の不調を訴える人がこの水を飲むと回復することが続きました。
そしていつしか人づてにその噂が広がり、世界中から人が集まるようになったそうです。
その総数、延べ800万人。

その後、ウルグアイの病院で患者にこの水を飲んでもらった結果、病状改善に効果があるという臨床データが得られたり、日本の大学の研究で活性水素が通常の水の10倍近く含まれていることが判明したりしたそうです。




なんとも凄そうな水です。まさに奇跡。
これは是非飲んでみたいと思い、意気揚々とトラコテへ車で向かいました。


グアナファトからサンミゲルアジェンデを経由し、111号線を東に向かって走り、右折で57号線に入ります。その後モンパニという集落を通過してトラコテへ。

57号線の途中から道は未舗装になり、視界は開けているもののいつ行き止まりになってもおかしくないような雰囲気です。少し不安になり、すれ違った人に道を聞いてみました。

「もうすこし進むとモンパニあたりにたくさん人が歩いてるからそのまま真っ直ぐだよ」

感じのいいお兄さんにそう言われたのでその通りに進むと、確かにモンパニのあたりにたくさん人が歩いていました。集落のようですが建物はほとんど目につかず、ただ荒野を人がたくさん歩いています。
モンパニの人々のこちらに対する視線が、普段外国人はあまり通ってない道なんだということを表していました。



モンパニを越えると再び舗装された道路になり、10分ほどして奇跡の水が湧く村、トラコテ・エル・バホに着きました。

トラコテは何の変哲もないメキシコの片田舎という感じで、本当にこの村に800万人も来たのか?と疑いたくなるような普通の村です。

早速、売店のお姉さんにどこに奇跡の水が湧いているの聞いてみました。すると、今は開いてないとか、よく知らないとか、なんだか気だるい対応。

あまり歓迎はされていない様子でしたが、知らないはずはないだろうと思いもう少し突っ込んで聞いてみると、売店からわずか2、30m離れた施設が水をくみ上げている場所だということが分かりました。

この小さな村で世界的に有名になった水のことを分からないはずもないはずなのに、そういう対応をされるということは過去に嫌な思いをしたのか、また別の理由で水を汲みに来る部外者に良い印象を持っていないのかのどちらかだと思われ、この時点で少し違和感を感じました。

水汲み場の外観。なかなか大きな施設です。


村全体に漂う若干閉鎖的な雰囲気を感じながらも、売店のお姉さんに教えてもらった水色の扉をノックしました。


少し間があって、中から職員の女性が出てきてました。
”私たちは日本から来ていて水を飲んで汲みたい”ということを彼女に伝えると、少しはにかみながら扉を開けてくれました。

大丈夫そうです。歓迎されていない感じではありません。
一安心して少し話をしていると、敷地内へ入るようにと案内されました。

扉の奥には広い敷地が広がっていて、塀から何本も取水できるようなパイプが突き出ており、かつてはたくさんの人が水を汲んでいた景色が想像できました。
でも、その日は他に誰も水を汲みに来ている人はいませんでした。

白い壁から水色の取水パイプが何本も突き出ている。


奥へと進んでいくといくつかの建物が並んで建っていて、その一番奥の部屋で水を汲ませてもらうことができました。
部屋には新聞記事や臨床データの証明書、病院や政府からの感謝状が壁一面に展示されています。
過去にはあのモハメドアリも来てたようです。

メキシコに来て初めての湧き水。
ドキドキしながら飲んでみると…

水汲み場。壁一面に新聞記事などが展示されている。


クセはなく、口当たりが少し硬い感じ。硬水なのかな。
地下水のはずなのにそんなに冷たくはない。

施設の雰囲気もあり、山の中で湧いている水を飲んだ時のような体が喜ぶ高揚感はありません。
まあ普通の美味しい水です。

汲み上げてる装置はどういう役割なのかわかりませんが、無機質な感じです。
職員のお兄さんに何のための装置なのか質問してみるも、
「僕がここに来た時にはもうあったけど、何か知らない」とのこと。

後から詳しく調べてみると、かなり高濃度のミネラルを含んでいるようで(カルシウムは100倍以上、マグネシウムは200倍以上!)、森や山のような植物の多い地層を通過してきたというよりは岩盤を通ってきた水なのでしょう。

水素とミネラルたっぷりの水は、味というより効能がありそうです。
なんとなく秋田の玉川温泉を思い出しました。


長らく稼働していないであろうなにかの機械。哀愁が漂う。


20Lのガラフォン2つに水を汲ませてもらってその場を後にしました。
施設を出た後、重いガラフォンを車まで運んでくれたお兄さんにチップを渡そうと思っていたので、
「お金を払う必要はあるのですか?」と一応聞いてみました。

事前に調べていた内容では、持ち主のチャヒンさんは病気で困っているより多くの人に飲んでもらいたいという思いからこの場所を開放しているとのことでした。
お金を請求したことも一度もないと。


しかしお兄さんからは予想外の返答。

「ガラフォン2つだから200ペソかな。今は売っているからね」


…え?変わったの?あれ?


チップを払いたかっただけなのに少し残念な気分になりました。
納得できなかったので自分の思っていたイメージと違うことと、支払う必要があるのならなぜ最初に伝えてくれなかったのかと話してみると、
「払わなくてもいいけど、聞かれたからそう言ったんだよ。」と言われました。

結局、チップとして50ペソ支払いました。



なんだか後味の悪いこの感じ、一つの記憶がよみがえりました。
それはウアウトラという村での記憶。

オアハカの近くにあるウアウトラ・デ・ヒメネスという村には昔から幻覚作用のあるキノコを用いて精神療法を行うシャーマンがいて、独自な文化を形成していました。しかし、1960年代にビートルズや、ストーンズ、ボブ・ディランといった有名人が彼女の元を訪れたことで、こちらもトラコテの奇跡の水と同じように噂が噂を呼び、村には当時全盛だったヒッピーが大挙して押し寄せてしまいました。

結局サビーナはその後、村の神聖な儀式を世界に漏らした罰として村を追い出されてしまいました。
サビーナもチャヒンさんと同じく、善意と使命感を持ってセレモニーを行っていたようですが、結果として村の人から蔑まれ、寂しい晩年を過ごしたそうです。

現在はサビーナの一番弟子がそのセレモニーを継続しています。私が訪れた10年前の時点で1000ペソ程度でしたが、最近も同じ値段で続けているようです。
適正な値段をつけることで村の混乱を防ぐ必要があったのだと思います。



トラコテもウアウトラも同じような静かな村です。
村にあまりにも多くの人々が訪れ、対応しているうちに擦れたと言えばそれまでですが、村の人たちは自分たちの穏やかな生活を一変させてしまった強烈な人の欲望の波に傷ついたのだと思います。

奇跡の水も、キノコのセレモニーも、メキシコの魅力を感じさせてくれる素晴らしい文化や自然なのに、元々の愛が薄れてしまったように感じられるのが少し残念でしたが、奇跡の水を飲むことができたのは素直に嬉しかったです。

もしこの先トラコテの水を売るようになっても、自分がそこに価値を感じるのであれば喜んでお金を払って水を飲みたいと思います。

なお、こちらは月曜から土曜の夕方5時までオープンしているそうで、また訪れたいと思っています。ちなみにケレタロ方面から行くと道も全て舗装されていて気持ちのいい道です。



世界には魔法がかかったような場所や自然、文化や人がたくさん存在しています。
それらは時に人生観を大きく変えるほどの感動を与えてくれます。

今も続いているその魔法に対してリスペクトを持って接することが大切だと思いました。

興味を持って体験することが、対象を搾取してしまているような状態にならないように、貴重なものほど壊れる可能性が高いことを自覚して、自分を感動させてくれたものが持続できるような付き合い方を心がけたいと思いました。




2015年11月14日土曜日

Je vous présente toutes mes condoléances


音楽やサッカーに感覚を委ねている瞬間に殺されるなんて、なんて悲しいことなんだ。

どのような思想を持とうと自由なのかもしれないが、他者を排除することを肯定し、それに暴力を伴っても良いという思考回路はどうしても理解できない。

多くのイスラム教徒は真面目で信心深いのかもしれないが、このような暴力的な思考に陥る可能性を含んだ宗教であることは確かだと思う。

拡大する原理主義とどう向き合うべきなのか考え続けても答えは出ないが、文化を暴力で破壊されることが本当に悲しい。







2015年11月4日水曜日

旅や移住を助けてくれる銀行

海外で使っている銀行と海外送金

お金の話です。

私の場合今までの海外旅行では日本円を現金で持って行って現地で両替するというシンプルなものでした。
しかし今回は旅行ではなく引っ越しなので、現金を持っていくわけにはいきません。
毎月の家賃や大学の授業料、車の代金など、大きな金額のお金が必要となることは分かっていました。
海外対応しているキャッシュカードを利用してATMから必要な金額を引き出すにしても1日に引き出せる限度額があり、その都度手数料もかかります。


そういうわけで、頑張って貯めたなけなしのお金、日本円をメキシコペソに効率よく移動させる必要がありました。
また、中南米では珍しくない急な通貨の暴落に対する備えとして、資産を分散させておきたいという思いもありました。

円とペソに分けて資産を保持し、なにかあった時にはインターネットですぐに対応できる状態にしておきたかったのです。


日本では特に理由もなく、いつの間にかUFJを主に使っていましたが、旅や引っ越しと移動が重なる事をきっかけに、状況に合った銀行を選び直し、新しく口座を開設しました。

4月から6月までは東北・北海道、7月はカナダ・アメリカを旅して、その後メキシコという流れだったので、旅の期間にそれぞれの土地で使いやすい銀行、海外送金に適した銀行をその時々に応じて使い分けていました。

ちなみに私は海外送金を今まで一度もしたことがなかったので、最初はあまりの複雑さに驚きました。
正直言って本当に面倒くさいです。
Miaが全て調べてくれて、説明を聞くのですがなかなか全体像が見えませんでした。
資産を移動するのって難しいんですね。

そんなわけで、新たに開設した銀行口座は全部で以下の5つです。

新生銀行
ジャパンネット銀行
楽天銀行
カレンシーオンライン (ニュージーランド)
スコシアバンク (メキシコ)

それぞれ長所短所があり、状況に応じて使い分けました。
各銀行の特徴と選んだ理由、そしてどのような流れで海外送金を行ったかを順を追って説明します。



新生銀行

日本国内の旅行に最適だったのは新生銀行でした。ほとんどすべてのATMが手数料無料で利用できます。田舎のコンビニでもゆうちょでも手数料無料なので気が楽でした。

新生銀行の口座間の振込手数料は無料で、他の銀行への振込手数料も月1回までは無料でした。
ネットバンクに近い感覚ですが実店舗もあります。困った時に相談できるのがいいですね。

プラスマークがあるので海外ATMでも利用可能です。
レートに上乗せされる手数料は4%。まずまずです。

海外送金の際にもお世話になりました。
送金手数料は2000円、円建ての場合は送金額の0.1%の円為替手数料が発生します。
送金限度額は30万円に設定されていますが、変更届けを出すことで上限1000万円までは変更することが可能です。




ジャパンネット銀行

アメリカ・カナダの旅も含めて、メキシコに来てからもかなり重宝しているのがジャパンネット銀行のカードです。
プラスマークが付いている海外のATMならどこでも使えて、レートに上乗せされる手数料は 3.02%。新生銀行より1%近く抑えられています。

デビットカードとして利用できるのも大きな魅力です。
デビット機能が付いていると、クレジットカードと同じように使えます(インターネットでの決済ができる)が、引き落としはその瞬間口座からの引き落としになります。

海外で使ってもその場で残高確認をすればすぐにレートもわかるし、クレジットカードのように何に使ったか分からないまとまった請求が来るという事態も無くなります。
また、残高が無いと引き落とせません。




楽天銀行

日本で保持している円をいざという時に海外送金できることと、インターネット上で操作しやすいという理由で選びました。

楽天銀行にも海外送金のサービスはありますが、メキシコペソは非対応でした。
また、送金手数料は750円と大きく安く表示していますが、実際に送金するとなるとそれ以外になんだかんだと名目がついて費用がかさみ(円送金手数料が3000円、海外中継銀行手数料1000円など)手数料だけで5000円近くもかかります。

さらに送金限度額が1回(1日)100万円まで、なので、それ以上の金額を送金するとなるとその都度この手数料がかかってきます。

facebookの友達に振り込み??もできるようになったらしいですが、怖いですね。
今のところはまだ恩恵に預かっていませんが、将来的に必要になるかもしれません。





カレンシーオンライン (ニュージーランド)

いろいろな方法を検討した結果、海外送金のレートが一番良かったのがカレンシーオンラインです。
ニュージーランドにある銀行で、両替・送金に特化した銀行です。日本人も現地で働いているので電話対応してくれます。
海外送金手数料は通貨によって異なりますが、円の場合100万円以上の利用だと手数料は無料で、両替のレートも日本国内の銀行に比べて随分良いです。
あらかじめレートを指定しておいて、そのレートになったら自動的に両替できるように依頼をすることもできます。いわゆる指値注文ですね。

海外送金で利用しました。
後ほどもう一度噛み砕きますが、まずはカレンシーの口座を作ったらそこに円建てで送金しておき、メキシコペソのレートを見計らって円からペソに両替してもらい、その後メキシコで開設した銀行口座にペソで送金してもらいました。





スコシアバンク(メキシコ)

メキシコでの口座開設はまあどこでも良かったのですが、海外送金に対応してそうなカナダ資本のスコシアアバンクを選びました
メキシコの大手銀行は窓口がいつもものすごく混んでいますが、スコシアバンクはそんなに混んでなかったのも好印象でした。
グアナファトのスコシアバンクには英語を話せる人が2人常駐しています。

必要な書類は、

・パスポート
・レジデンシャルカード(滞在許可書)
・コントラート(住居の契約書)
・公共料金の明細

それ以外に申請の際に必要な情報が

・保証人が2人必要でフルネームと電話番号
・Beneficiario( 遺産相続人) 本人が亡くなった場合口座のお金を渡す人。 

口座には常に1500ペソをキープしておかなければならないそうです。






海外送金をする

さて、必要な銀行の準備が整ったらいよいよ送金です。

しかし、残念な事に最近規約が変わってカレンシーオンラインはメキシコに住んでいる人は利用できなくなりました。

なので、前から利用対象外だったアメリカとメキシコ以外の国、つまり南米・ヨーロッパ・アフリカ・アジア(日本在住者も)などに送金する場合はこの方法で送金できます。



手順は3段階で簡単に言うと、

新生銀行の海外送金サービス、"Goレミット"を使ってカレンシーオンラインに円建てで入金。
                ↓
カレンシーオンラインでレートの良い日を見計らって円からメキシコペソへ両替。
                ↓
カレンシーオンラインから現地メキシコの口座であるスコシアバンクへ送金依頼をしてメキシコペソで送金。



これで送金完了です。
簡単に言うと本当に簡単そうですが、一つ一つの行程にお金を扱う緊張感があるので、大変疲れました。
全部調べて道筋を作ってくれたmiaに感謝です。

ほとんどネット上で数字を入力してクリックすると、メキシコでお金を引き出せるというのは便利ですが不思議です。
また、国を跨ぐために通貨の変動で資産が減ったり増えたりすると、お金の意味について考えさせられました。

海外送金には裏技を含めていろいろな方法がありそうですが、現時点での私たちの選択はこのような流れでした。

海外に出るタイミングや資産の持ち方によってケースバイケースが多いと思いますが、未来に役立ちそうな(というか必要性が高まりそうな)経験・スキルであると感じました。

2015年11月1日日曜日

ネマガリタケでチンジャオロースー

ネマガリタケ

以前住んでいた京都市西京区はたけのこの産地として有名でした。
たけのこって美味しいですよね〜。季節を感じられて贅沢な気分になります。
その分お値段もそこそこするので、たまのご馳走という感じでした。

しかし、東北地方でたけのこといえば、ネマガリタケのことを言います。
こちらのたけのこも同じように贅沢な気分を味わえるけど、大きく違うのは自分で探して採集できること!
頑張れば頑張った分だけ味わうことができます。

思い出すだけで思わずよだれが出てくる、シャキシャキとした食感と、若芽の新鮮で上品な香り。焼いても煮ても天ぷらにしても美味いネマガリタケ。
普通のタケノコと比べても全く遜色ありません。むしろ当たり外れが少ない気がします。
ただ、収穫してその日のうちに下処理をしないとアクが出てしまうこともあり、関東以西にはあまり出回っていない気がします。

ネマガリタケは別名で、チシマザサというのが本来の名前です。姫タケと呼んでいる地方もあるようです。大型の笹の一種で、東北地方から北海道、サハリンに分布しています。
成長した笹の背丈が2mから3mを超えることも多く、ネマガリタケの笹薮はさながら森のようで、初めて訪れた山や土地勘のない場所だと一瞬で方向感覚を失ってしまいます。

その魅力ゆえに、毎年笹薮で迷って遭難する人が後を絶ちません。
さらに、このネマガリタケはクマの大好物でもあり、遭遇する可能性も非常に高くなります。そのため採集しに来ている人たちは必ずクマ鈴をガランゴロンと鳴らしながら笹薮をウロウロしています。




北海道でも山菜の図鑑など本の写真を見ながら探していたのですが、本物のネマガリタケは見つけられず、普通の笹の芽をネマガリタケだと思って食べてたこともありました。
普通の笹の芽も食べられるのですが、やや青臭いし、まあ食べられるかなって感じの食材です。

そして、私たちもついに長らく探し求めていたネマガリタケを見つけました。
あれは6月に入ってすぐ、秋田県玉川温泉の近くの笹薮でのことでした。
キャンプしていた太平山リゾート公園を管理しているおじさんに教えてもらった峠を走っていると、辺り一帯がそれらしき笹薮になってきたので、車を停めて笹薮の中へ。

自分の背丈を優に超える笹を掻き分けながら、目を凝らしているとついに発見しました!
何度も間違えて「これかな〜」とただの笹を収穫していましたが、本物はやはり違います。
本物って雰囲気があります!

ネマガリタケ。色や形が地域によって少し違う。


初めてのネマガリタケに興奮しながら収穫していると、突然ガサガサっと音がして生き物の気配を感じました。

クッ、クマ?!

一瞬血の気が引き、体が硬直しました。
クマがいるかも、と心の準備はしていましたが、どうすればいいか考えを巡らせているうちにガサガサと何かが少しずつこちらへ近づいてきます。

武器になるようなものは収穫に使っていたハサミのみ。
ハサミでクマに対峙するのはあまりにも心もとなかったのですが、下手に背中を向ける方が怖かったので、意を決して待ち構えました。


すると、現れたのはたけのこを取りに来ていたおじさんでした。
おじさんも同じように驚いたようで思わずお互い「うわっ!」 
と声をあげてしまいました。

結構焦りましたが、おじさんでよかったです。ちょうどネマガリシーズン真っ最中だったので、その後も10分おきくらいに笹薮からガサガサと別のおじさんが何人も出てきました。

後で地元の方に話を聞くと
「この時期は町に人がいなくなって、みんな山に入るの。山の中の方が人に会う」
とおっしゃってました。

もしあなたが東北、北海道の春山をドライブしていて、何もない山道の脇に車がたくさん停まっていたら、つまりそれは間違いなくそこにネマガリタケが生えているというサインです。





そんなことで肝を冷やしながらも、初めての収穫に喜びながら車に戻りました。
すると、私たちが駐車していた車の近くに人影が。

それは、ずた袋みたいなリュックサックパンパンにネマガリタケを詰め込んだ、まるで昔話にでてくる優しい妖怪みたいな二人組のおじいさんでした。

目と目があって何か話しかけられましたが、何を言ってるかまったくわかりません。
なんなんだろうと近づいて話してみると、どうやらネマガリタケのことについて何か言っています。

そこで、こんなん取りました〜と、私たちの収穫したネマガリタケを見せると、また何やら言っています。
もにょもにょ言いながら、背中のリュックサックからすっと太いネマガリタケを取り出して手に持っていた鎌でネマガリタケの節をサクッサクッと落としていきます。
そして、節の部分は硬くて食べられないから、節と節の間の部分を食べるんだということを教えてくれました。
根元付近の節は硬くてナイフでトントンしても切れません。少しずつの先端の方に向かって順に節を落としていき、節でもサクッといけるようになれば、そこから先っぽまでは柔らかくて食べられるとのことでした。

十分に言葉は通じませんでしたがネマガリタケの処理の方法、食べられる部分をジェスチャーで教えてくれようとしてたのです。
なにか、ラオスの山村でおばあちゃんと身振り手振りでコミュニケーションが取れた時と同じような楽しい気持ちになりました。


山に入っている60代、70代の人たちは、自然と共存する多くの知恵や知識を持っています。
子供の頃から蓄積されたその知恵や知識を直接教えてもらえることは、本やインターネットで得た情報と違って、体験を伴った記憶として自分に蓄積されていきます。
学ぶ喜びを感じられる瞬間です。





ネマガリタケは東北・北海道地方においては特に珍しい植物ではなく、群生しているので採集できるポイントは多くあるようです。
いろんな山で笹薮を見つけては少し山に入って探すということを繰り返した結果、ある条件を満たしている場所に分布していることに気がつきました。

それは酸性泉の温泉が近くにあって、少し標高の高い峠(1000mくらい)にはほぼ確実にネマガリタケが分布しているという事実。
この条件を満たす地域では、大抵見つけることができました。

茹でて皮を剥いた状態。これを瓶詰めすると1年くらいは持つそうです。




収穫したネマガリタケは軽く茹でて皮をむいて水につけておくとある程度の期間保存ができます。
代表的なオススメの食べ方としては、味噌汁の具にしたり、皮ごと焼いて味噌につけて食べるのがうまい!とよく聞きました。

焼いてマヨネーズをつけても美味しいし、タケノコご飯にしても美味しいかったです。
でも、いろいろ試した結果一番美味しかったのは…


豚肉とネマガリタケのチンジャオロースー。
これは絶品です。

京都の錦市場で売っているような値が張る高いたけのこではもったいなくてなかなかできないけど、ネマガリタケなら惜しげも無く炒められます!
春の東北に行く機会があれば、ぜひ採って焼いて食べてみてください。




2015年10月25日日曜日

知床トリップ

日本に残っている数少ない秘境、知床。
アイヌ語では岬を表す”シリ・エトコ”(大地の先っぽ)。

まさに日本の最果てにあり、良質な温泉や湧き水が湧いていて、オホーツク海の恵みである海産物も最高です。


見どころはたくさんあるのですが、幸か不幸か世界遺産に登録されているので、様々な制限がかかっています。
例えば知床五湖は、時期や場所によってガイドと同行しなければ歩いて回れなかったり、知床半島の先っぽである知床岬までは道が繋がっておらず、遊覧船でしか観に行くことができなかったり。
手つかずの大自然にはもちろんヒグマも沢山住んでいます。

しかし、ツアーやガイドを利用するとなかなかの金額になり、なにより自由に過ごすことが難しそうです。
そこで色々考えた結果、車でぶらぶら回ることにしました。
美味しいものを食べて、知床の雄大な景色を楽しみ、源泉かけ流しの温泉を味わう1日コースです。


前日入り  クリオネキャンプ場
朝出発   道の駅 斜里
昼食    そよかぜキャンプ場
観光    オシンコシンの滝
      知床五湖散策(一湖だけ)
      岩尾別温泉
      フレペの滝
      羅臼岳から国後島を眺める
      熊の湯


行程はこんな感じで、料金は道の駅の買出し以外は全て無料です。





クリオネキャンプ場の温泉 PH7.9 弱アルカリ性

朝から1日かけて見て回りたかったので、前日のうちに移動して知床入りしました。
拠点に選んだ宿泊先は斜里町にあるクリオネキャンプ場です。
キャンプ場と言ってもバンガローやコテージ、ライダーハウスにログキャビンといろんな形で宿泊できます。
最初はキャンプしようと考えていましたが、なんとここのゲストハウス棟に宿泊すると、館内の温泉に入り放題。しかも源泉かけ流しのモール泉です。
迷わずゲストハウス棟に宿泊することにしました。一泊一人2000円。

この道東地区ではモール泉がよく湧いていて、他にもいくつか入りましたが、ここの泉質が一番好きでした。ほどよい泡つきと芳醇な甘い香り、湯は薄い飴色。

風呂上がりに知床の海の幸を肴にビールを飲んで、寝る前にまた温泉へ。
朝起きて、温泉へ。

他に宿泊客もいなかったのでいつでも館内かけ流し入り放題で、まさに贅沢の極みでした。

クリオネキャンプ場はとにかくどこもかしこも綺麗に掃除が行き届いていていて、気持ちがいいです。
自炊可能な調理スペースには調味料も豊富に揃っていて鍋類も豊富。
WIFIもバッチリです。


斜里国道(244号線)から少し海側へ入ったところで、JR斜里駅から徒歩20分くらい。





道の駅 斜里

翌日、朝風呂に入ってから出発です。
まずは食料調達のために道の駅へ。オホーツク産の新鮮な海産物をお値打ち価格で手に入れることができます。働いている人たちも親切でいろいろな話を教えてくれました。
ここでは身のぎっしり詰まった毛ガニがなんと880円!
最高に美味しかったので家族やお世話になった友人に送りました。
後で分かったのですが、毛ガニで有名な網走よりも、この斜里の道の駅のほうが送料も毛ガニの値段も安かったです。


ちなみにオホーツク産の海産物は高品質、高価格のため、漁師さんは夏の間だけ半年働いて年収2、3千万を稼ぐそうです。冬の間は 漁もないのでお休み。冬の斜里のパチンコ屋さんは漁師さんでいっぱいだそうです。地元っ娘はみんな漁師の嫁が憧れだそうです。


かわいい毛ガニ。食べられるために生まれてきたかのようなうまさ、そして食べやすさ。

JR知床斜里駅から徒歩3分。斜里の街の中心にあります。





そよ風キャンプ場

昼食は道の駅斜里で知床牛を買い込んで、バーベキューをしようと思っていましたが、ヒグマや野生動物が多いためなかなかバーベキューをできそうな場所が見つかりません。
知床牛を買った肉屋さんに相談してみると、このキャンプ場を教えてくれました。

開放的な芝生が広がった気持ちいい場所で人もほとんどおらず貸切状態。
名前の通り本当にそよ風が気持ちいい!
溶けそうです。

近くの海岸で拾った流木を薪にして知床連山を眺めながら知床牛を焼きました。


至福の時。忘れられないバーベキュー。

斜里の街から国道244号線を標津方面へ進むとすぐに出てきます。






知床五湖

極上のセッティングの昼食で腹ごしらえをしたら、知床半島の海沿いを時計回りに上がっていきます。
迫力満点のオシンコシンの滝を見て知床五湖へ。

知床五湖は季節によって歩ける範囲が決まっています。ガイドをつけないといけない時期や、利用者のレクチャー受講が必要な時期、コースもあるので事前に下調べしてから訪れるのをお勧めします。
リアルタイムの様子を確認してみると(10月25日)今日は暴風のため終日閉鎖されています。
ホームページ要確認です。

五湖のうち一湖だけは、木造の遊歩道を利用して誰でも無料で自由に見て回ることができます。車椅子にも対応しています。
地上の遊歩道を利用すれば二湖から五湖まで見て回れますが、ヒグマの出没する時期に合わせて開放されたり、ガイドやレクチャーの受講が必須など、条件が変わってきます。
私達が訪れた5月はちょうどヒグマの繁殖期(5〜7月)でした。


一湖に映る知床連山


案内所には大きなヒグマの剥製が出迎えてくれるので、どうしても遭遇した時を想像して今います。

歩道を歩いて行くと、鳥の声は聞こえてきますが、それ以外に音はせず、普段の生活では感じられないような静寂の空間です。

視界からは人工物が消え、白い残雪が残る山、オホーツクの海、熊笹、湖、エゾシカ。
恐竜がいた時代を想像できるスケールの大きな景色。
静かな湖の湖面に水鳥が漂い、エゾシカが水を飲んでいます。

ふと気がつくと目の前の景色に心を奪われて無心になっていました。
これも日本の景色なのかと、誇らしい気持ちになりました。





岩尾別温泉 PH6.8 中性

そのあとは少し引き返して、日本最北東の温泉宿「ホテル地の果て」へ。
ここのホテルの駐車場を超えて川辺を歩いて行くと温泉が川の横で湧いていて、誰にでも無料で開放されています。
天然の温泉、いわゆる野湯(のゆ)です。
自然が作り出した湯壷はエメラルドグリーン色をしていおり、温度もちょうどよく、滝の音が聞きながら森林浴気分で入浴できます。


泉質はこれといった特徴のない感じの湯です。景色も絶景というわけではないのですが、個人的に野湯に興味があったので訪れました。そうでなければわざわざ寄らなくてもいいかもしれません。

でも、自然に温泉が湧いてきて湯壷になって無料で利用できることに感動していたので、私は満足でした。





フレペの滝

朝から動き出してこの時点で3時くらいでした。夕日を知床峠で見ることにして、もう少し時間があったのでフレペの滝を見に行きました。

往復小一時間の遊歩道を抜けると、一面にワラビが自生していました。見渡す限りワラビで、何万本?どこまでもワラビの草原が広がっていました。

ワラビの草原

食べごろのワラビ。てんぷらに、おひたしに。炊き込みご飯にも。

フレペの滝は川から流れ出るのではなく、切り立った断崖絶壁の途中から滝が湧いている珍しい滝です。
「乙女の涙」というキャッチコピーが付いていますが、激しい断崖絶壁とものすごい水量のため、乙女感は全く感じられません。
その断崖絶壁の上から見下ろすと滝が見えます。

岬から豪快に流れ落ちるフレペの滝とワラビの草原。知床五湖のような木でできた遊歩道もないし、野生に近づけるのはこっちの方かも。







羅臼岳と国後島

羅臼岳。北方領土からも見えるそうです。

斜里町ウトロ地区と、半島の反対側である羅臼地区を結ぶ知床横断道路(国道334号線)を羅臼方面に走ります。

この日の空は晴れ渡り、雲も少なく、知床峠に差し掛かるころに、羅臼岳が見えてきました。

言葉が出なくなるような存在感。圧倒されていると、ふと、海の向こうに国後島が見えました。
淡い夕暮れの空と海の間に、つーっと島影が伸びていました。

ロシアなのか、日本なのか、縄文時代にはどんな人が住んでいたのか。そもそもどちらの国の所有物でもない美しいシルエットの島を見ていると、感情と時間が混ざって複雑な不思議な気持ちになりましたが、島は静かに存在していました。

水平線に浮かんでいるのが国後島。島影に色気がある。

いつか行ってみたいなあ。
国後島はどこ掘っても温泉が出てくるようです!




熊の湯 PH7.3 中性  

日が落ちて少し体が冷えた頃、そのまま羅臼方面に少し車を走らせ熊の湯へ。
羅臼川沿いに「熊の湯」と看板が出てきます。

車を止めて小橋を渡って熊の湯へ。
地元の有志の方が管理してくださっているそうで、毎朝清掃してくださているそうです。清掃時間に訪れた人は手伝って欲しいと書いてありました。

湯船には羅臼の漁師さんが仲良さそうに、熱すぎる湯に浸かっていました。
湯は綺麗に白濁しており、肌触りも滑らかです。

知床の原生林の中で羅臼川の音が聞こえてきて、秘湯の雰囲気は抜群です。
しかし、なんせ湯が熱すぎたのでゆっくりはできませんでした。


源泉を飲むと出汁のように程よい塩加減、硫黄加減で美味しい!まるで卵スープを飲んだ気分です。
源泉を飲用してもよい温泉では必ず飲むのですが、ここが一番美味しかったです。




川沿いにあり、秘湯の趣あり。


旅人には無料の源泉かけ流し温泉、本当にありがたいですね。
地元の方にも愛されている温泉ですが、こちらも無料で開放されています。














このような行程で一日ゆっくりかけて知床の恩恵を堪能できました。

知床五湖はガイドさんと行くとより深い話が聞けると思います。遊覧船でしか見れない知床峠まで自力で歩いて行く人もいるみたいです。

知床はそれぞれの見たいもの、感じたいものによってどこまでも奥深い体験ができる場所だと思います。
くれぐれもヒグマには気をつけて、それぞれの楽しみ方で楽しんでくださいね!