2015年10月16日金曜日

稲倉石は積丹ルビー (菱マンガン鉱 Road chrosite )



北海道は鉱物採取がまだできる日本でも貴重な場所です。
今回私たちが訪れたのは稲倉石鉱山跡。
積丹半島のちょうど根元あたりにある鉱山で、昭和59年には閉山しています。


稲倉石という名はそのあたりの地名でもあり、昔は集落もあったようです。
今は集落の跡形もなく、閉山後の採石場も稼働していない状態です。




稲倉石には呼び名がたくさんあります。
この地域では積丹ルビーと呼ばれたり、インカローズと呼ばれたりしていますが、正式な鉱物名は菱マンガン鉱(ロードクロサイト)です。





鉱物採集に出かけた私たちは地図を見ながらかつての廃村を抜け、採石場を通って山に入りました。
ちょうど山菜が取れる時期で、山では山菜取りに来ている人たちと出会っいました。
軽くあいさつをして、気になっていた件、ヒグマが出るかどうかを確認してみました。


すると、にこにこしながら「ヒグマね、この辺りでるよ。気をつけてな。」と教えてくれました。


そう言われてしまうと、頭の中はヒグマでいっぱいです。熊よけの鈴は持っていましたが、鉱物採集は地面に意識を集中するため、はっきり言って隙だらけです。


菱マンガン鉱は欲しいけど、ヒグマと遭遇するのだけは勘弁です。
悩んだ挙句、一旦引き返すことにして作戦を練り直しました。
いろいろ調べていくと、採石会社の社長さんが鉱物採掘体験教室を開催していることが分かりました。
(→現在は鉱物採取体験行っていないようです。2017年10月追記)


早速電話してみると、すぐに対応してくださり、社長さんの家で待ち合わせをすることに。
約束の時間に社長さん宅を訪れると、奥さんと一緒に出迎えてくださいました。
鉱山のことや、閉山後の採石場のことを話しながら、菱マンガン鉱や黄鉄鉱など、稲倉石鉱山産の鉱物をいくつか見せてくださいました。


その後、社長さんの運転する車で再度鉱山跡へ向うことに。
さっきと違って、山の持ち主と一緒なので全然怖くありません。
話を聞くと、昔は採石のために岩山をダイナマイトでバンバン吹っ飛ばしていたので、ヒグマも発破音を怖がって鉱山のあたりにはほとんど近寄らなかったそうです。





社長さんについていく




社長さんは鉱物にさほど関心はないようですが、菱マンガン鉱を求めて全国、時には海外からも鉱物ハンターが来るので、どんなものが欲しいかは理解してくれています。
山道を歩きながらころころ転がっている瑪瑙や黄鉄鉱、水晶を目ざとく見つけてくれました。





鉱山の上の方。仮面ライダーのロケができそう。


鉱山の上の方まで行くとすごい規模のズリ(必要でない石の捨て場)です。
関西の山ではなかなか見られない鉱物がゴロゴロ落ちているので、興奮しながらしばらくの間、石を割ったり探したり眺めたりと、楽しませてもらいました。


それにしても、ダイナマイトの破壊力ってすごいんですね。

あまりにも強烈なのでそりゃヒグマも逃げるだろうなと思いました。
鉱山って鉱物目当てに自然を跡形もなく吹っ飛ばしているので、今だと自然破壊になるのでしょうか。
需要があって、必要だったから稼働してたけど、マンガンも石炭も必要でなくなった今はただの削られた山です。
人間って本当に環境に影響を与える生き物だと思いました。


そんなことも考えながら、せっせと欲深く鉱物を拾い集めました。
菱マンガン鉱は下の写真のように、母岩の中に隠れていることが多いようです。


これを割ると…


中は綺麗なピンク色!




ハンマーでそれらしき石を叩くと、中から鮮やかなピンク色が出てきます。

結晶の造形美は見れば見るほど引き込まれます。遥か昔の縄文時代も、遠くエジプトでも宝石が珍重されたように、人間はこれを美しいと思うようにできている気がします。





奥様にいただきました


手頃なサイズのものはほとんど見つかりませんでしたが、なんせすごい量のズリが残っているので、あの中にはまだ良いコンディションのものも眠っているかと思われます。


今回大変お世話になった社長さんは採掘体験をしつつ、釣り船も出していらっしゃるそうです。私たちが訪れたのは5月でシーズンオフでしたが、鉱物採集をして釣りをして、その魚を近くの野塚野営場で焚き火で焼いて食べるコースも楽しそうです。












    

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