2015年12月29日火曜日

2015年に読んだ意識を拡張してくれる本 おすすめ18選

うろうろしながら各地の図書館や古本屋さんで探して読んだ本。
日本を出てからは、電子書籍で。


海外在住でも電子書籍で日本語の本が読めることはすごい嬉しい。
品揃えも料金的にも制限がかかっているけど、読めるだけ幸せです。


☆がついているは何度読んでも新しい気づきがあるので特におすすめなもの。




羊の宇宙 夢枕獏 ☆
アインシュタインらしい物理学者とカザフスタンの羊飼いの少年が、山の中で宇宙について穏やかに語り合う物語。
宇宙や時間や空間ってどんなものなのか、不思議なことなのに考えなくなってしまっていた自分に気がついた。






美しい星 三島由紀夫
自分たちが宇宙人だと自覚した埼玉県に住む家族の物語。
人間という生き物の本質を宇宙人の視点を通して覗いていく。
三島由紀夫は人間を愛していたんだろうな。





月と農業 Jairo Restrepo Rivera
農業の実践書。
中南米に住む先住民族の農民は、今でも月の動きを頼りに有機的な農業を行っていて、月の満ち欠けに合わせて種を蒔き、肥料を与え、収穫する。
メキシコに来てから実際に自分でもいくつかの植物で試してみたが、種のせいか水のせいか土のせいか、そううまくはいかなかった。
すべての地域・作物に適用できるものではなさそうだが、それでも口伝で伝えられたものは結局確率が高くなるはずだと思う。








僕はお金を使わず生きることにした マーク ボイル 
アイルランドの若者が1年間経済活動と距離を取り、農場で暮らしながら行った社会実験について書かれた本。
その実験は資本主義と豊かな人生についての哲学的な研究でもある。
今の社会で幸せに生きるための新しい提案。
普通の人にはできないこと(冬は氷点下まで冷えるような場所で寝泊まりをしているので、暖をとるためにまずは毎朝腕立て100回とか)をやりきった人ならではの説得力があって面白かった。
自分のテーマを追求するという哲学的な行為に、継続して取り組める人生は幸せだ。






ジェノサイド 高野和明
アフリカのコンゴ共和国に住むピグミー族に突然変異の人新類が現れる。
その新人類を巡ってのSFミステリー。
構成と展開のスケールが壮大で、読むのを止められなかった。
作り込まれた娯楽小説。
読後には一晩踊り明かしたような不思議な達成感を感じた。







津軽  太宰治
青森を旅している時に古本屋で”津軽”を購入。同じ景色の中で太宰の人間性が垣間見れた。豊かすぎる感性を持ち、ギャグセンが高くて、酒が好き。
一緒に旅したら楽しそう。





人間失格  太宰治
とにかく欲に弱い人だったんだなあと共感が持てた。魅力的な人だったんだろうな。





農民芸術概論 宮沢賢治 ☆
岩手を旅していた時に読んだ。
芸術が人に与える影響を力強くて綺麗な言葉で伝えている。






トワイライトフリークス 山田塊也
ヒッピーのポンさんの世紀末の過ごし方。
今思えば、まだアンダーグラウンドな文化が残っていた世紀末。
生態系の中での人間としての責任を問うている。






WORK SHIFT  リンダ・グラットン ☆
3回ぐらい読んでる。未来の働き方について。
現実はこの本で書かれている未来に近づいて行っているので、人生設計の参考にしている。
翻訳がとても丁寧で、見事な仕事。






レンタルチャイルド 石井光太
カナダに住んでる地元の友達がくれた、インドの物乞いの話。
あまりにもカルマが濃すぎる国だ。
インドに行った時に目には入っていたはずの景色。
見えていたんだけど認識できていなかった暗部。
だんだんもう笑えない国になってきている。





2035年の世界 高城剛
なんか胡散臭いので購入をためらっていたが、面白かった。
今年は未来に目を目けた本を選んで読んだ年だった。






民間防衛 スイス政府
日本で安保問題が過熱していた夏、メキシコで読んだ。
全スイス国民に配布されているこの本には、国と国民がそれぞれの役割を果たして国を守るためにどう行動するべきなのか具体的な役割・方法が書かれている。
シンプルで平等でいい国だと思った。






SPEED スピード 石丸元章
スピードって怖いなあ …。最低の日々が最高に面白い物語に昇華している。
煙と匂いの表現が秀逸。





平壌ハイ  石丸元章
立て続けの石丸元章チョイスの理由は多分グアナファトの日々が退屈で刺激を求めていたっぽい。いろんな意味でトリッピーな作品。
クレイジーだけど人間臭いとこが魅力的。






アヘン王国潜入記 高野秀行
早稲田大学探検部出身の作者はマジで探検冒険潜入している。
未開の地でアヘンを栽培している民族との暮らしについてのルポタージュ。
世界では全く知らないことが堂々と行われていることを再認識させてくれた。






始めよう。瞑想〜15分でできるココロとアタマのストレッチ〜 宝彩有菜
ブレインデトックスとしての瞑想を生活に取り入れたかったのでその指針として購入。
脳の再起動は気持ちが良い。







目の見えない人は世界をどうみているのか 伊藤 亜紗 ☆
障害を持っている人との関わりは、健常者にとって精神的に価値のある経験や感情をもたらしてくれる。
彼らと関わることを経験していない人にとっては、どう関わるかが一つの枷になっているのかもしれないけれど、自分と違う感覚の人と関わることはとても刺激的で、それはむしろお金を払う価値さえある体験だと思う。
新しい関わり方を提案していて、その視点が面白い。
これもイノベーション。

2015年12月27日日曜日

シャスタトリニティでフリーキャンプできる場所と酸性泉の掛け流し温泉

アメリカの家賃・宿泊費の高騰がすごいです。


サンフランシスコでは、在住している友人の話では平均家賃が2800ドルぐらい。
日本円にして大体35万円くらいと言ってました。


シリコンバレーに富が集まりすぎたせいか、にわかには信じられないような価格帯になっています。


ニューヨークでも一泊の平均宿泊費が200ドルくらいとか。
いつの間にそんなことになってたのか全く知りませんでしたが、なかなか旅人にとっては厳しい国になってきています。
世界の中心は日々変化しているってことですね。


そんな狂った物価ですが、それでもそこは自由の国アメリカ。
フリーでキャンプできる場所もたくさんあります。


その中でも北カルフォルニアのシャスタ近辺のキャンプ場はフリーなんだけど環境が抜群で、アメリカが生んだ偉大な自然詩人、ゲリー・スナイダーが唱えていたSense of the place(場の感覚)を体感できる場所だと思う。


地続きだけどもカナダやメキシコとはまた違った、琴線に触れる気持ちのいい環境がそこにはある。

























シャスタ山の周りには良い水が沢山湧いたり流れたりしていて、空気は澄み、とてつもなく星が綺麗。
町にいる人たちは少しエキセントリックだけど攻撃的な人を見かけることはなく、皆フレンドリーに接してくれる。


地球上には手つかずの美しい自然の景色がまだ少し残っているけど、このシャスタトリニティー地域の景観は特に素晴らしく、人の心を打つ絵画のような風景を沢山見ることができます。


そんなシャスタの大自然を満喫できる、フリーキャンプ可能な場所や温泉のご紹介です。









Castle lake Campgroundo
キャッスルレイクキャンプグラウンド

シャスタの町から見るとシャスタ山の反対方向にあるキャッスルレイクのキャンプ場。


利用期間は5月の雪解けから11月頭までで、その間は無料で利用できます。
トイレはありますが水場はないので、飲み水などは持参しましょう。
テントを張れる場所は全部で6サイト。連続して3泊まで宿泊することができます。


フリーのキャンプサイトなんだけど、管理人さんも常駐しているので安心感が保たれているのが嬉しい。
あまり大きなキャンプ場ではないので、大きなトレーラーなどは中に入るのが難しそうです。


わたしたちはすぐ横にある湖のキャッスルレイクには結局行かなかったけど、町で買ったクラフトビールを飲みながら静かな夜を過ごしました。


町からもそう遠くなく、トレイルの起点にすることもできる使い勝手の良い立地。
キャッスルレイクからのトレイルの先には、恋愛の妖精が住むらしいハートレイクもありますよ。






Castle lake Campgroundoの近くのプリミティブキャンプスペース


キャッスルレイクでキャンプする予定だったのですが、なんと到着した時点ですでにフルブッキング。
どうしようかと困っていると、キャスルレイクキャンプグラウンドの管理人さんがこの場所を教えてくれました。


キャンプ場の200mほど手前に車が入っていけるスペースがあり、その奥のスペースでキャンプができます。
もちろんただの空きスペースなので水場、トイレ、電気はありません。


天気が良ければシャスタ山を一望できるはずですが、私たちが訪れたときはシャスタ山には大きな雲がかかっていて、結局最後までその姿を見ることができませんでした。


私たちのほかにもキャンプをしている人は何組かいて、歩いて見て回ると焚き火の後など人の痕跡がところどころに残っていました。


森ではなく、山肌が露出している茂みの隙間でキャンプをすることになるので、悪天候の日は風や雨を遮るものがなにもないので要注意。


そのぶん空がとても近く、人生で一番綺麗な星空を見ることができました。
天の川がはっきりと見え、空一面に広がる数え切れない星々。
当たり前すぎて普段は意識していない宇宙をはっきりと認識させてくれる星空でした。


壮大な天体観測を存分に楽しんだ後、そろそろ寝ようかなとテントで寝袋にくるまっていると、突然空がピカッと光りました。
雷のような一瞬の光ではなく、もっと強くて長いはっきりとした光。
なんの光かは結局不明でした。


UFOが来て、宇宙人にさらわれるならここしかない!というような場所です。










Panther Meadows
パンサーメドウズ


シャスタ山の8合目にあるキャンプ場で、シャスタの中でも特に神聖視されている場所。


テントサイトは全部で15箇所あり、なかなか広いスペースがあります。
こちらもテーブルやトイレはありますが水場はありません。
シャスタ山の中腹にあるので、利用期間というか道が開けているは雪解けの間のみ。


パンサーメドウズの森の中には雪解け水が湧き出ていて、夏場だけに咲き乱れる高原植物はなんと300年もの時をかけてゆっくりと生きているものもあり、珍しい植生が保たれているそう。



この場所を知ったきっかけは、サクラメントリバーのヘッドウォーターを汲んでいる時に出会ったおじさんに、


「君たちはそんなに湧き水が好きなのかい?それならパンサーメドウズがシャスタで一番美しい場所だから、是非行ってごらん」


と教えてもらったこと。


サクラメントリバーですでに度肝を抜かれていた私たちは、
この水よりさらに綺麗な湧き水があるなんて!
と、早速その足で訪れたのですが、いざ山に入るとあいにくの霧。
なんとか水が湧いているところまで行ってみたかったのですが、濃い霧のおかげで10m位先までしか見えません。



キャンプしていたおじさんに話しかけてみたものの、イマイチ話が通じず。
しかも話の途中でハッとした顔で森を指差し、


「湧き水か?湧き水はどこだろうな。俺はそこを知っているぜ。でも忘れたかもしれない。トレッキングをしたいのか?でも今は、、おお、今そこに精霊がいたぜ…。スピリチュアルだぜ…。」


ええ??!と思って話を続けるも、しばらくするとまた話の途中で精霊をすぐに発見してしまうおじさん。



悪い人ではなかったのですが、説明もよくわからないし日も沈みかかっていたので、湧き水や高原植物の生息している場所までたどり着くことができませんでした。
残念。






シャスタの温泉。酸性泉です。
施設内写真撮影禁止だったので写真はありません。


町から車で15分くらい走った森の中にあるこの施設にはティピがいくつか立っていて、そこに宿泊することも可能。
ほかの建物もすべて木造の有機的な建築で統一されています。


料金は結構高くて、バス&サウナの利用でビジターは30ドルぐらい(住人はもっと安い)しますが、その価値は十分にある温泉施設です。


通年営業しているようですが、天候による変更もあるそうなので事前にHPで確認してから行く方が無難だと思います。予約も可。



予約しないで訪れた場合、まず受付で個室の空きを確認してから、空いていたら中に案内されます。
日本人の利用者も多いためか日本語での案内メニューもありました。


受付をした後で体にまく用の薄い布やタオルを渡されると、中では一人ずつ浴槽のある個室と、共同のサウナやテラスが利用できます。


個室の部屋のバスタブにはたっぷりと源泉が注がれていて、裸で入ることができます。
体や髪は共同のシャワースペースで洗うようになっています。
施設内は清掃が行き届いていて清潔に保たれています。


そして、水風呂の代わりとなるのは横に流れる天然の小川。
施設内を移動するときにはみんな渡された薄い布を巻いていますが、小川は裸で泳いでも大丈夫!
温泉やサウナで汗をかいた後に裸で綺麗な川で泳ぐと最高に開放的な気分になります。


硫黄臭がするヌルヌルとした気持ちのいい温泉に使って小川で泳ぎ、サウナで汗をかいて小川で泳ぎ、テラスで休んでまた小川へ。


海外の温泉にありがちなプール感覚の温泉ではなく、しっかり裸で湯に浸かれるのが最高でした。





また、ここはヨガやスピリチュアル系のリトリートなどにも使われているようで、日本人の姿も多かったです。


ちなみにサウナは共同なのですが、どこの国でもおじさんのサウナでのリアクションは万国共通なようで、

「Hoou---!Huuuuu! 」


とやたらと激しい息づかい。
場所が場所なのでおじさんも座禅を組んだり、ヨガのポーズをとったりしています。

全裸で。


日本人のスピリチュアルなおばさまの真横で全裸のおじさんが四つん這いでポーズをとっている様はまさにカオス。


めっちゃ面白かったです。






なんか、マンガみたいなんですよね。アメリカの日々って。
また行きたいな。

2015年12月18日金曜日

マウントシャスタの麓では、湧いた水が小川になっていた

Sacramento River(サクラメントリバー)の源流

アメリカ大陸西海岸の縦断。
バンクーバーからサンフランシスコ目指しての南下が続きます。

サクラメントリバー


ポートランドとサンフランシスコの間にあるレッドウッドも魅力的でしたが、私たちが立ち寄ったのはマウントシャスタ。



マウントシャスタはカルフォルニア州の北に位置する、富士山に似た美しいシルエットを持つ名峰。
標高は4327m。

それまでに持っていたシャスタ山のイメージといえば、ネイティブインディアンの聖地で、スピリチュアルなパワースポットとか、そういった類のもの。UFOもよく見えるとか。



自分たちの周りにはシャスタを訪れたことのある人はほとんどいなかったのですが、唯一のシャスタ経験者である知人、長野県大鹿村に住むヒッピーの方に聞いた話では、

「シャスタはね〜地底人がいるんだよ。シャンバラにつながっているんだ。」

というものでした。
地底人の住む山、シャスタ山。
言葉の響きだけでも魅惑的なミステリー感が満載で神秘的です。



そんな話を聞いていたので、不思議な魅力に溢れていて綺麗な場所なんだろうなあとは思っていましたが、それまで特に気にかけてはいませんでした。

しかし、旅のルートを調べている時にインターネットで見つけた水に関するある情報が、私たちの気持ちを固めました。



その記事は英語でこう書かれていました。



”シャスタはクリスタルガイザーの取水池にもなっていて、水の聖地でもあるんだよ。
シャスタ山の雪解け水が湧きまくっていて、クリスタルガイザーの小川があるんだよ。
川の水が全部湧き水で最高に美味しいんだよ。”



湧き水の川??
川が全部湧き水ってこと???


湧き水が大好きな私たちにとって湧き水の小川なんて、子どもの頃夢見たお菓子の家ぐらいの価値があります。


湧き水の川…そこは、どうしても訪れたい!



そう思って、レッドウッドを諦めてシャスタに立ち寄ることにしました。




その湧き水の小川があるのはシャスタの町にある公園、シャスタシティーパークの敷地内。
500km先のカルフォルニア湾まで続くサクラメントリバーの源流です。


公園に掲示されていた看板


事前に参考にしていたウェブサイトの情報では、

”その公園にはスクワッター(不法占拠者)がいますが害は無い人たちです。ただ、彼らがそこにいるということを理解しておいてください。”

と書かれていました。



北カルフォルニアのパワースポットだし、フラワーチルドレンがそのままスクワットして住んでいるのかなあと思っていました。


公園に入るとテントやティピがいくつか立っており、簡素ながら洗い場や調理場など所々に生活の痕跡が見られ、まるでお祭りのテント村のよう。


そして、そこに住んでいるスクワッターたちは、ある意味想像通りでしたが、少し予想と違いました。
思っていたよりも若かったのです。


今まで出会ってきたヒッピーといえば、1970年代に若者だったお爺さんお婆さん世代だったのですが、そこにいたのは20歳くらいの 男の子や女の子達。


そう、新世代のヒッピー。
年下です。
この人達はおそらく90年代に生まれはずなんだけど、土地の持つ雰囲気がそうさせるのか、はたまた遠くから集まってきたのか、時代は違っても同じような思想を持っていることに驚きました。


少し彼らと話すと、若干フワフワしていましたが美味しいプラムやチョコレートをくれて、笑顔で長いハグをしてくれました。


同じスクワッターでもヨーロッパにいる人たちとは住環境が全然違いますね。
湧き水の小川の横に勝手に住んでいてもお咎めがないあたりに、アメリカの懐の深さが垣間見れました。






さて、お目当の小川。サクラメントリバーです。

岩の隙間から溢れる湧き水


水量たっぷりの澄んだ水がこんこんと湧き、するすると流れています。
小川の側にはニコニコしながらずーっと流れを見守っているおじさん。
地元の人たちも、若いヒッピーも水を汲みに飲みに来ています。


私たちも大きなタンクと水筒を持って、水が溢れるように湧いている岩の隙間へ。
まずは直接水を手にすくい、飲んでみます。



…美味い。

うますぎる。

なんだこれ。

あまりの水の清らかさに感動。

身体中に水が染み渡って行くのが感じられ、溢れてくる多幸感。

長時間のドライブの疲れは一瞬で吹き飛び、生きててよかった、と思いました。






そんなわけで、私たちはあっという間にシャスタの虜になってしまいました。
圧倒的な湧水量に、その水の透明度に、そしてシャスタにいる人たちにすっかりやられてしまったのです。


ここでは都会に住んでいる時には感じられないイマジネーションやインスピレーションが自然と湧いてきます。
また、この場所では妖精や天使を見た人がたくさんいるそうですが、そういう人がいるのもわからなくもないような気持ちのいい特別な雰囲気。


京都にある大好きな湧き水掛け流し銭湯、芋松温泉の湯船に浸かっている時も、綺麗な水面をぼんやり見つめている時に色々閃きましたが、ここはそのスケール大きいバージョン。


この水、最高。

シャスタ、噂に違わぬ不思議な場所です。




















2015年12月13日日曜日

ポートランドから車で2時間!オレゴン州のプリミティブなおすすめキャンプ場




Shady Cove Campground (シェーディーコーヴ)

ポートランドの街から約2時間(90マイル/145km)でアクセス可能な穴場のキャンプ場のご紹介です。


行き方ですが、まずはポートランドから5号線を南下してSalemという街を目指します。
Salemに入ったら、22号線を左折するようにして東へ進み、Mehamaの方へ。
のんびりした小さな集落を幾つか越えていき、Gatesで左折します。方角的には北の方。


Gatesのあたりはドライブインぐらいしかなく、左折する交差点も看板は一応でていますが特に目印もないので、もし道に不安があるのならばこの辺りで


「North Fork Roadを通ってShady Cove Campgroundに行きたいです」


と聞くと間違いないと思います。


North Fork Roadは穏やかな古い森が続く綺麗な山道。
しばらく行くと砂利道(NF2209からNF-2207)になり、そのまま進むと右手に看板を見つけることができます。


乾季は山火事に注意が必要。


このキャンプ場にはトイレはありますが、電気も水も来ていないのでかなりプリミティブなキャンプを楽しむことができます。


1サイトの利用料金は8ドルで、キャンプサイトのスペースは全部で13個。
予約不可で早い者勝ちです。


支払い方法ですが、管理人は常駐していないので、自分で利用届けに名前を書いて所定のボックスにお金を入れるだけ。


予約ができないので現地まで行って満員だったらどうしようと不安でしたが、キャンプ場に掛かっている橋を渡った奥に、さらにプリミティブなサイトもあります。
こちらは定員もなく無料で自由にキャンプすることができるので、万が一キャンプ場がいっぱいでも安心です。


でも、Shady Cove の方がテーブルもあるし地面はフラットだし、何より明るくて安心感があるので8ドル払う価値は十分にあると思います。


利用している人たちは静かにキャンプを楽しんでいる家族連れが多く、年齢層は高め。


通年オープンしていて、7月から9月がベストシーズンのようです。
私たちが訪れたのは6月でしたが、暑くもなく寒くもなく快適でした。


キャンプ場のあるこの地域はOpal creekという場所で、後から知ったのですが昔はオパール鉱山が近くにあったようです。
かなり気になるので、次回訪れたときには鉱山跡まで行って鉱物採集したいです。


近くには川の水を利用した天然プールやハイキングコースもあり、深い森を散策することもできます。


キャンプサイト。地面は砂利だけどフラット。




キャンプ場の横を流れている川の水がとにかく美しいので、みんなそこで泳いだり釣りをしたりしている。


ダートの道を走ってきたせいで砂埃を身体中に浴びていたので、まずはザブンと川に飛び込み、ひとしきり泳ぐ。
体が冷えたらハンモックで日光浴。
温まったらまた川へ。


ビールを片手に至福のルーティーンを繰り返しました。


英語ではClystal clearと表現されていた水は、底まで見えるほど澄んでおり、薄いエメラルド色。


綺麗な水のそばでゆっくりとした時間を過ごすと、体も心もゆるゆるとほどけていき、この場所に来れたことが嬉しくなった。


抜群の透明度。




日が沈んでくると、夕暮れの空がエメラルドの水面に映り、まるでオパールのような遊色に変化していく。



この辺りが鉱山跡だということを知らなかったので、
「ああ、この時間のこの色がオパールクリークという名前の由来なんだなあ」
と勝手に思い込みながら、ゆっくりと変化していく空と水面を暗くなるまで眺めていた。





夕暮れ時のとろけそうな色。


夜は星を見ながら焚き火にあたり、ハンモックで眠る。


電気も水もないシンプルな場所だけど、何も必要にならない空間。


このぐらいのキャンプ場がもしかしたら一番贅沢なのかもしれないですね。

2015年12月8日火曜日

ポートランドの湧き水と、お値打ちなスーパーWINCO

全米で住みたい街ランキング1位・ポートランドへ

カナダ・バンクーバーでの滞在を終えた私たちは、サンフランシスコを目指してアメリカの西海岸を南下し始めました。
移動手段はアムトラック(Amtrak)を利用して、電車での国境越え。

バンクーバーからシアトルまでの約4時間の道のりは海沿いを走っている時間が長く、途中で水鳥の群に遭遇したり、穏やかな海を眺めていたりしているうちに、気がつけば駅に着いていた。



アメリカでの最初の目的地はポートランド。

ポートランドといえば、環境に配慮した都市設計であったり、ZINE専門の書店、毎週末開催されているオーガニックマーケット、キャピタリズムよりローカリズムの方がクールだとされている風潮など、先進的な考え方を持っている人たちがたくさん住んでいるじゃないかという期待をしていたので、日本にいる時から訪れるのを楽しみにしていた。

そして、どうやら水がいい土地らしい。


シアトルでレンタカーを借りて、ポートランドまでは5号線をひらすらまっすぐ3時間。
慣れない右ハンドル、時速120kmでも追い抜かれる高速道路に何度も肝を冷やしながらも、なんとか街に辿り着いた。



ポートランドでは、バンクーバーでお世話になった友人が紹介してくれたカナダ人の女の子、レベッカの家に滞在させてもらうことになっていた。

レベッカはカナダ人なんだけど、現在ポートランドで仕事をしていて、趣味はロッククライミングやサイクリングというエネルギッシュな女性。
山に遊びに行って額から血を流して帰宅することもあったが、そんなときでも満面の笑顔で、ホスピタリティーに溢れた人だった。

彼女の同居人がたまたま私たちが滞在する3日間の間、友達の家に泊まりに行くことになっていたので快く部屋を提供してくれた。


近所のイタリアンでレベッカと一緒に夕食をとり、ポートランドの街のシステムや、人生で大切な要素など、未来を想像しながらいろんな話をして気持ち良く酔っ払った。

オススメの地ビール、本屋や古着屋、トレイルコースにレストランなど、レベッカの勧めてくるものはどれも魅力的。



ちなみにいくつかご紹介すると、

Good Breweries

-Hair of the Dog
-Burnside Brewing co
-Ecliptic Brewing


These Shops

-Powell's Books      (本屋)
-Buffalo Exchange  (古着屋)
-Canoe (Local Design)
-Everyday Music   (CD) 
-Salt & Straw     (アイスクリーム)


Hiking Trail

-Wildwood


Brunch/Breakfast

-Swee Dee Dee
-Screen Door
-Maurice


などなど。

ん〜。。全部行きたかった!!
どのお店もユニークなコンセプトで、HPも可愛い。

これは残念だけど滞在日数足りないな…と思いながら、その日は就寝。






いざ水汲みへ

そして翌日。
レベッカにもらった地図を頼りに早速街へ向かった。

ポートランドの街の地図を見ていると、街のあちこちに”Drinking Fountain”(水飲み場)のマークがある。それもかなりの数。

まさか、これ全部が湧き水・・?

と期待して水を飲んでみたのだが、水飲み場の水はしっかりカルキの臭いがする水道水だった。
なんでもポートランドの水道水は安全で安価らしく、

「ペットボトルの飲料を購入するよりも、喉が乾いたら自分の水筒に水を汲んで飲んで、環境に負荷をかけないようにしよう!」

という主旨の運動が学生中心に盛り上がってるようだった。

安全な水道水もそれはそれでありがたいんだけど、私たちはもっと美味しくてフレッシュな水が飲みたい。
事前に湧き水の情報は仕入れていたので、街をじっくり見ることもなく、すぐに湧き水ポイント目指して車を走らせた。





その名もなき湧き水の場所は、ポートランドの街から海へと向かう26号線の途中で、小さな2つの集落、ティンバーとエルシーのちょうど中間ぐらい。


のどかな山道を1時間ほど走ると、右手に”Drinking Water”と書かれた青い看板を発見!

路肩のスペースに車を寄せて、早速湧き水の元へ。


湧き水、発見


冷たい水がジャブジャブ勢いよく流れ出ていました。
口に含むと、新鮮な湧き水特有の甘みが感じられ、口あたりもまろやか。
日本人にとっては馴染みがあり飲みやすい軟水。

うん、これは美味しい!
これで作る地ビールはそりゃあ間違いなく美味しいはず。


よく見ると車線の反対側にも水が汲めるポイントがあり、ちょくちょく地元の人がペットボトルを持って水汲みに来ていました。

取水できるすぐ裏の森には囲いがあり、地元の人々がこの場所を大切に守っていることが伝わってくる。



水源を守る看板


満足するまで水を飲んだり浴びたりして、さらにタンクにもたっぷり水を汲めて大満足。

街からの距離も遠すぎず近すぎず、もしポートランドに住んだら毎週汲みに行けそう。












トラベラーの味方、スーパーWINCO!

いい水に出会えて気を良くした私たちは、この先のキャンプ生活に必要なものや食料を探しにポートランドへ戻った。

街中の幾つかのスーパーや、広場で開催されていたファーマーズマーケットを覗いてみたものの、思っていたより野菜の値段が高い。

ポートランドを含むオレゴン州は消費税がありません。0%です。
それでも野菜は高い。レベッカの家の近くのオーガニックマーケットは確かにキレイで美味しそうな野菜が並んでいるのだけど、気軽に買える金額ではありません。

これは困ったと車を走らせ続けていると、気がつくといつの間にか隣町のビーバートンに来ていて、そこでWINCO(ウィンコ)というスーパーを見つけました。

ここが当たりでした。

店内の商品は全て量り売り。野菜はもちろん、ナッツやスパイスなどの調味料油類に至るまで、全て欲しい分だけ購入可能。

オーガニックもあればそうでないのもあり選択肢が豊富。

しかも安い!
ポートランドのオーガニックマーケットの半分くらいの金額です。

各種スパイス類が並ぶ


ビーバートンの街自体は、ポートランドのおしゃれさはずいぶん薄れて、アメリカの片田舎という雰囲気。

WINCOに来ているお客さんも、だいたいみんな丸かったりしていい感じの和み感。

それが逆に心地よく、欲しいものを十分に吟味して買い物をすることができました。



ピーナッツバターがその場でできる!

結局レベッカのオススメしてくれたたくさんの素敵なお店には、時間の都合もありほとんど行くことができず、私たちにとってはWINCOのコストパフォーマンスだけが強く印象に残った滞在でした。

次回訪れるときには、ゆっくり街も見て回りたいなと思っています。
(ちなみにポートランドにもWINCOはあります)




ポートランドは街も人も、新しい文化が現在進行形で進んでいる魅力に溢れていました。

でも、実は隣町のビーバートンってポートランドも湧き水も近くて、何よりWINCOがあるので、生活費を抑えて滞在を楽しみたい人には穴場のエリアだと思われます。


そんなわけで、一番のオススメはビーバートンです!

2015年12月4日金曜日

バンクーバーの源泉掛け流し温泉

Skookumchuck Hot spring (スクッカムチャック ホットスプリング)

バンクーバーの源泉掛け流し温泉の紹介です。

北東北・北海道を旅した後に訪れたカナダ・バンクーバー。
訪れる前に読んでいた雑誌”スペクテーター”の情報で温泉があることを知りました。
しかも、海外にしては珍しく、水着を着て入るプールタイプのものではなく、湯船があって裸で入れる源泉掛け流しとのこと。

しかもその温泉は深い森の中にあり、ファースト・ネイション(カナダの先住民族)の人々が集い、他部族間で共有しているスペシャルな場所なんだとか。

温泉や湧き水を探して人里離れた奥地へ行くと、そこは大抵その土地の先住民族が見つけた場所であったり、伝承が残っていたりします。
北海道ではアイヌ民族が多くの温泉地を発見していたし、中南米においてもマヤ民族がセノーテと呼ばれる湧き水のある地域に文明を形成しています。
水と人間の長くて深い関係を感じます。


アクセスはバンクーバーからは車で行くしか方法は無いようなので、現地在住の友人カップルに連れて行ってもらいました。

街を出て、ウィスラー方面に99号線を北上していきます。
もし湧き水があれば汲みたいと、友人カップルにリクエストしていたので、井戸があるキャンプ場に途中で寄ってもらいました。

ポンプでくみ上げる。敷地内に水汲み場がいくつかある。

正確な場所を忘れてしまったのですが、バンクーバーとウィスラーの間で、バンクーバーから20分くらいだったと思います。

早速井戸水をいただきます。

うん。ウマイ!

特別美味しいわけではないものの、フレッシュな水を飲むと気持ちが軽くなります。キャンプ場も適度に整備されていて、自然が大切にされているいい森でした。

そのあとも北上を続け、ウィスラーを超えると右手に川のような湖、リロオエット湖が現れます。
99号線は川沿いから離れるように、進行方向でいうと左のほうに道がつながっているのですが、右折するようにオフロードの湖沿いを進んでいきます。


脇道の入り口。ここからダートが続く。



この看板が目印。目指すはここから48km先。

看板を確認して目的地である「Skookumchuck(スクッカムチャック)Hot spring」へ車を走らせます。
これより先にはもちろんお店もないので、事前に食料や飲み物を買い出ししておく必要があります。
この時点でバンクーバーを出発してすでに3時間。秘湯の予感に胸が高鳴ります。

そこからさらにダートを48km...。

連れて行ってくれた友人は釣り好きなので、道中の川や湖を見るたびに何が釣れるか教えてくれました。
ハードコアを聞きながら(釣り好きなひとになぜか多い)、1時間以上同じ景色の中を進んでいきました。

気がつくといつの間にか森の中に入っており、ついに到着。
途中水を汲んだり買いだしでスーパーに寄ったりしたので、トータルで4時間位かかりました。


到着。入り口のゲート。

ついに到着しました。
街から遠く離れた深い森です。
この場所はキャンプ場にもなっているようで、入り口付近には車を止めるスペースやテーブルなどが設置されています。

ゲートに掲げられている横断幕にはこの場所がファースト・ネーションにとってどういう場所なのか簡単に記されています。

それによると、この場所では自然からスピリチュアルなメッセージを受け取ったり、またメッセージを受け取る練習をするような場所だったそうです。
多くの先住民族の人々は厳しい環境下で生きてきた結果、自然に対して畏敬の念を強く持っていたと想像できます。

今の私たちとは世界の見え方が全く違っていたのは当然ですが、地面から程よく気持ちのいいお湯が沸いているなんて、奇跡の場所だったはず。

そんな遥か昔の人々と、今の自分の見える世界は違っていても、温泉に入ってほっこりする気持ちは同じようなもんだと考えると、温泉ってすごい!と思います。
猿や熊も好きですしね。


そんな壮大な古代のロマンを感じながら、いざ入浴です。

手前の湯船。一応シャワーもある。


湯船は全部で5個くらいあります。グループごとに入れるように屋根があったり、塀があったりして軽く区切られています。脱衣スペースには服を掛けるフックなどもありました。

先客は一人だけいて、ゆっくり読書しながら温泉を楽しんでいました。
にっこり笑って挨拶を交わし、私たちも念願の温泉に浸かります。

4時間のドライブで凝り固まった体を(運転はしてない)、ゆっくりとほぐしていきます。
湯温はぬるめで少しとろみがあり、長風呂向きです。

森の中にある無料の厳選掛け流し。
なかなか遠かった分、達成感と満足感を十分に感じながらリラックスできました。



屋根もあり、適度に他の湯船と距離がある。

そのまま寝てしまいそうな気持ちいい湯温なのですが、蚊が多かったです。
私たちが訪れたのは6月。季節的なものなのか、通年を通してそういう場所なのか…

4時間運転を頑張ってくれた友人が蚊に吸われやすい体質で、蚊の群れに襲われていました。
あんなにがんばって運転してくれたのに、その上…
なんだか申し訳なかったですが、どうすることもできず見守っていました。私たちの分まで蚊を引き寄せてくれていて、複雑な気持ちでなんどもお礼を言いました。



この近くではやらないでね。のサイン。

日本の温泉のように芯から温まったり、肌がツルツルになったりといった効能は弱めでしたが、自然の中で 古代の時に思いを馳せながら湯に浸かるのはよい経験でした。

帰り道は再びハードコアを聞きながらぐっすり寝ていましまいました。
本当にありがとう!