2016年1月30日土曜日

ワステカの民、テネク・マヤの家

日本から友人が訪ねてきてくれたので、ちょっと足を伸ばしてサンルイスポトシ州にあるワステカ・ポトシーナに遊びに行ってきました。


ワステカはグアナファトから車で不毛な砂漠高山地帯を約6時間走った先にあり、なかなか遠かったです。
頑張って離れた分土地の雰囲気も大きく変わり、ジャングルの中には最高に綺麗な滝や川がいくつも点在していて、興味深い建築やワステカの人たちの暮らしを見ることができました。

ワステカスタイルの家











Aldea 


タマソポの滝とPuente de diosという滝でひと泳ぎした後に向かったのはラフティングや滝遊びなどのアクティビティーを行っているRuta Huastecaの経営する宿泊施設、Aldea。


私たちも翌日はラフティングをすることになっていたので、前泊する形でそこに泊まりました。

Aldeaの敷地内を流れるRio Micos



舗装された道を外れてガタガタの土道を300mほど奥へ進むと、パッと開けて芝生が広がり、奥には綺麗な川が流れています。
植物と建物が有機的に配置されていて、手入れの行き届いた広い庭を歩いているだけで幸せな気分になりました。


宿泊場所はそれぞれワステカ族の建築を再現した家の一棟貸し。



ツインの部屋(家)が20軒以上


朝夕の食事は料理上手なワステカのセニョーラが作ってくれました。
料金は1泊2食付きで490ペソ。






さて、あまり耳に馴染みのないワステカ族とは一体どのような民族なのか?


ワステカの民はもともとはマヤの人々。マヤの多くはユカタン半島やグアテマラに住んでいるのだけれども、ワステカの民はベラクルス州の北部とサンルイスポトシ州東部に住む先住民族であり、マヤの生息地域の中でも北限に住む、忘れられたマヤの末裔。
彼らの総称はテネク・マヤ。

若者も含むその多くが現在もワステカ語を話しているが、スペイン語も話せる。

雨が多いため水に恵まれたジャングルの肥沃な土地に住み、調理の際にガスは使用せず、食事は薪を焚いて作っている。
現に車で山道を走っている時にも、薪を集めているテネクの人々を何度も見かけた。

病気になると、軽いものであれば家庭で薬草などを用いて治療し、西洋医療に過度に依存はしていない。
村の中には今もシャーマンがいて、祈祷して病気の回復を図る、という医療の役割を担っている。

テネクの民が住んでいる地域には一応小・中学校があり(教員はいなくてビデオ授業だけの中学校もある模様)就学はしているが、彼らの考え方では公教育は小学校までで十分とされており、中学校へ進学するのは全体の10%程度にとどまっている。

そのぶん家庭やコミュニティでの日常教育が学校教育を補完する役割を担っているため大切にされていて、子供は家庭やコミュニティの中で褒められたり叱られたりしながら、資源、住居用空間、薬草、食料、環境資源の確保について学んでいる。


とのことです。
資料がほとんどなく、大阪経済大学の桜井美枝子氏の研究ノートを参考にしました。


なんだか面白そうな民族ですね。
知名度も低いし、その分今も現在進行形で昔ながらの生活習慣が残っています。
2000年以上前の生活習慣が。




お化けみたいな外観


そんなテネクの民の家ですが、パッと見た感じは日本の遺跡跡によくある、先住民族の家を再現した建物みたいな外観なのですが、内部は現代に暮らす私たちのために、使い勝手良く調整されていました。


部屋の中。奥がバスルーム。



家の特徴ですが、使用している資材はもちろん全て自然素材。
木と竹とヤシの葉で出来ています。


コンクリート基礎の上に円形の建物があり、屋根は竹で組んだ骨組みにヤシ(Palmera)の葉をかぶせた茅葺風。というか草葺き。


ここでは基礎にコンクリートを使用していましたが、本来は石を並べて基礎を作るそうです。
もともとワステカ族の人たちは化粧漆喰を土壁にぬっていたそうですが、ここでは簡易的に木で枠を作り、布を張っていただけでした。

ちなみに屋根に使うヤシの葉は1枚3ペソで売っていて、一棟に2000枚必要だと教えてくれました。
建築費用は屋根代込みで大体1棟10万円程度。


ただ、屋根は茅葺きと同じように永久的に使用するものではなく、タイミングを見はからって張り替える必要があります。


この家が良いと思った点は2点あって、1つは現地にある素材だけで作っているところ。
もう一つは、縄文時代のような家でも室内を現在の生活スタイルに整えれば以外とシンプルで快適な空間が出来ていたところ。






そして、一番心に残ったのはこのような建築に今もなお多くのテネクの民が住み続けていることでした。


翌日ラフティングを楽しんだ後、昼食をテネクの家の軒先で食べたのですが、料理上手なセニョーラが、石で組んだ炊き場で薪を使って調理された美味しいメキシコ料理を6種類も出してくれました。

どの料理も抜群に美味しい


庭には鶏が歩きまわり、バナナの木が生い茂っていて、その家族は少しだけ現代のインフラが入った茅の家に今も住んでいた。

テネクの家


植生豊かなジャングルと、澄んだ川があちこちに流れているこの環境。
子供の目はキラキラ輝き、どのセニョーラも少し無愛想だけど抜群に料理上手。
本当に気持ち良く日々が過ごせそう。







日本でも、縄文時代は竪穴式住居に茅で屋根を作っていたそうですが、そこから発展して白川郷や京都の美山町のようなレベルにまで進化した。
日本の茅葺の技術は本当に高くて、その耐久性、造形美は世界を見渡しても群を抜いて上質な部類だと思う。


逆に、テネクの家は何千年も前のままで、ほとんど変わっていない。
進化するものと守り続けるもの、どちらも魅力的だ。


個人的には進化していくことに魅力を感じてしまうけど、家づくり初心者としては簡単な建築という点で同じくらい魅力的。
これならいけるな、と思った家でした。


2016年1月24日日曜日

グアナファトにあるエコロジカルな建築のカフェ

私達はストローベイルという建築方法で自分たちの手で家を建ててみたいと考えているのですが、その話を今住んでいる家の大家さんと話していると、


「セントロの近くにある、”Museo Casa Diego Rivera”(ディエゴリベラの博物館)の前にあるカフェは、あなた達の興味がある建築方法で建てられているわよ。」


 と教えてくれました。









ストローベイル建築とは藁のブロックを組み合わせて構築された建物、またはその方法のことを指します。
材料となる藁は世界中どこでも手に入れることができる上に、食料の副産物として大量に発生しているため、現在その多くは家畜の食料、もしくは廃棄されているのが現状です。


仮に世界中の家が全てストローベイル建築の建物になったら、それはそれで材料が足りなくなると思うのですが、今の世界の状況、今のタイミングにおいては藁は不要なものであり、それを有効に活用して家が建てられるということになります。


建築資材としての藁は防音、断熱、湿度調整が自然にできるといった利点があり、大きな音を気にせずに出せるストローベイルのスタジオ兼クラブなどあれば面白そうだな…と想像しています。




ただ、日本では資材の中心となる肝心の藁が意外と集めにくく、雨と地震が多いといった気候や風土に合わせた工夫が必須であり、また、建築基準法においても藁と土だけで家を作るストローベイル建築は認められていません。






















なぜそのような建築方法で、また自分たち自身の手で家を建てたいかという理由はいくつかあります。


まず、間取りも外観も自由にデザインできるということ。
”自分で家を建てる”という、昔なら当たり前だけど現代では特別な経験をすることができること。
どこがどうなっているのか理解できれば補修修繕も自分の手でできるということ。
そして何より、ローコストであることです。




長野県は大鹿村に住んでいる友人、というか大先輩のHさんは、制作期間1年半で友人とログハウスを建てられたそうです。
建築にかかった費用は普通に新築の家を建てる予算に比べるとずいぶん安価ですが、とても居心地の良い家です。


メキシコだと、さらにその半分くらいの予算で建てられるんじゃないかと前向きに試算しています。










そんなわけで、セルフビルドに取り入れることができそうな有機的な建築のアイデアを期待して、教えてもらったカフェを訪れました。

Escarola

住所: Positos 38, Zona Centro, 36255 Guanajuato, Gto.
電話:473 732 0632
営業時間: 10:30〜20:00




そこはとても気持ちのよい場所でした。
そしてカフェじゃなくてベジタリアンレストランでした。


座席はほとんどが明るい光が射している中庭に面していて、座っているだけで心地良く、土壁や漆喰でぬられた壁にはワインボトルが埋め込まれて、光を取り込んでいました。







木でできたテーブルの隙間からはサボテンが生え並び、お昼のランチもグアナファトにしては珍しく見栄えもよくて美味しかったです。









庭の奥にはライブスペースもあったりして、ヨガやECO-TIANGUIS(オーガニックマーケット)も定期的に開催されていたりする様子。


そして、これまたグアナファトでは珍しくビーガン対応のメニューも。



ベジタリアンレストランだそうですが、アラチェラ(ハラミ)やパボ(七面鳥のはずだけどハムだった)、ポヨ(鳥肉)もメニューにありました。







瓶を壁に埋め込むことによって、大きな窓がなくても室内に光を取り込むことができていますね。




眺めているだけで、どのように作ったかを容易に想像することができるので、これならできそうだな、という気分になりました。


















北米や北欧では一昔前から自然素材を生かした建築は盛んに行われており、メキシコをはじめとした中南米ではストローベイル建築のような、有機的な建築方法(BioConstraction)が今まさに盛り上がり始めています。


ここではまだまだ洗練されていない時期なので、多種多様な新しい個人的なアイデア、そして様々な失敗例も見ることができて興味深いです。


現在日本で建てられているエコロジカルな建築物はクオリティが非常に高いものばかりです。
日本人は失敗しませんね。


それゆえに、メキシコに比べると素人が気軽に挑戦することに対してのハードルが若干高い気がします。厳格な法律もあるので、簡単にはできなさそうだと感じてしまいがちです。


しかし、今のメキシコではできそうな気がします。
まずは手頃な土地を見つけて、家造りを進めていきたいと思っています。


2016年1月17日日曜日

ウチワサボテンの果実、トゥナを食べる

先日近所の山、La Buffaまで山登りに行った時に、メキシコの国旗にもあしらわれているノパレス(ウチワサボテン)のさきっちょの部分にできる果実、トゥナを採って食べてみました。


ノパレス。先っちょのピンク色の部分がトゥナ


ノパレスはメキシコでは野菜のような扱いで、八百屋さんや道売り、スーパーなどどこでもよく見かけます。
メキシコ人にとってはなくてはならない食べ物のようで特に女性に人気があるような気がします。


ノパレスに火を通すと粘り気がでて、めかぶのような食感に変わります。
豊富なミネラル成分とビタミンを含むノパレスには血をさらさらにする効果があるそうで、ヘルシーな食べ物として広く親しまれています。


葉肉の部分は野菜コーナーに売っているのですが、先っぽの部分にできるトゥナはフルーツとして認知されています。
東南アジアで食べられるドラゴンフルーツもサボテンの果実ですが、よく似た雰囲気です。
不思議なサボテンですね。








トゥナもノパレス同様にどこででも手に入るのですが、メキシコの自然から直接採取して食べてみたいという思いと、その時はまだノパレスがこんなにどこにでも生えていることを知らなかったので、わざわざLa Buffaまで採取しにいきました。


トゥナもノパレスも、サボテンなのでがっつり棘が生えているので気をつけないとすぐに刺さります。産毛のような細かい棘なのですが、実際刺さるとチクチクします。
それほど痛くはないのですが、棘が細か過ぎてなかなか抜けない割にチクチクが持続するのでできれば刺さりたくないところです。


予防策としてゴムの軍手をしていったのですが、見事に貫通しました。
産毛のくせに…。










La Buffaのヤギたち


後からヤギを放牧していたおじさんに棘に刺されず採取する方法を教えてもらいました。

まず、目星を付けたノパレスを発見したら、まずはその辺の枝ではたきをかけるようにトゥナの棘を払い落とします。
枝で棘をしっかり落としてからトゥナを採取すると、刺されることなく採取できるようです。



ヤギ飼いのおじさんはトゥナの食べ方も教えてくれました。

まず上下のへたを落として、切り落とした部分を繋げるように中央に切り込みを入れます。
そうするとくるっと皮がむきやすくなり、食べやすいです。


中には細くて固い種がたくさん入っています。メキシコ人の友人はそのまま食べていましたが、結構固いです。















La Buffaでは山の麓でトゥナを摘み、40分くらいかけて頂上まで上り景色を堪能。
そして、下山して昇り口まで戻ってきたところでカメラがないことに気がつきました。


。。。。。



泣く泣く来た道を引き返すと、頂上にいた家族が拾ってくれていました。
メキシコ人、優しいです。


予定外に山登りを二往復するはめになったため、持ってきていた飲み物はもうなくなってしまっていたのですが、そんなときに麓で摘んでいたトゥナが喉の乾きを潤してくれました。


最初は棘がチクチクするから嫌な感じだったのですが、最後は熱中症寸前のところを助けてくれて、本当にありがたかったです。
文句ばっかり言ってしまって悪かったな、と思いました。














水分を豊富に含んだトゥナはミキサーにかけてジュースにしても美味しかったですよ。
テキーラとトゥナジュースのカクテルもあるそうで、サボテン ×サボテンの組み合わせで美味しそうですね。

トゥナジュース。さっぱりして美味しい。レモンを加えても相性が良い。





トゥナとテキーラのカクテルのレシピ


Coctel de Tunas Rojss

よく熟れた赤いトゥナ1つ  1 tuna roja bien madura
砂糖大さじ1        1 cucharada de azucar
お水を少々         1 chorrito de agua
テキーラ適量        2 onzas de tequila blanco
氷             hielo


最初にトゥナをミキサーにかけて細かな種を濾して、後はそれぞれ混ぜるのみです。

2016年1月13日水曜日

アガタデフエゴを求めて、グアヤバ畑でドンをつかまえる

アガタデフエゴ  (Agata de fuego)



メキシコ中央高原地帯では、この地域特有の希少な鉱物が多く産出されます。
テキスキアパンでのオパール採集に続いての遊色鉱物、ファイヤーアゲートを求めてアグアスカリエンテスまで行ってきました。



ファイヤーアゲートはスペイン語では”Agata de fuego ”と呼ばれています。
アゲートとはつまり瑪瑙のことなのですが、その中でもメキシコで産出されるものは虹色の美しい遊色を持つ物が多く、神秘的な模様を形成しています。



調べてみると、ファイヤーアゲートの産出地はグアナファトから車で3時間ほどいった所にあるアグアスカリエンテスという街の近くにあるカルビージョという鉱山で主に産出されている事が判明。



前回の経験から鉱山に直接行けば手に入る!
と思ったのですが…そう甘くはありませんでした。



グアナファトからアグアスカリエンテスまではナビの表示では2時間でしたが、実際は3時間以上かかりました。そして高速道路の料金がやけに高かったです。
下道で行ってもほとんど変わらない一本道なので、下道で行く事をお勧めします。



アグアスカリエンテスから日帰りするのは厳しそうだったので、またまたAirbnbを利用。
今回のホストはスナックのママをしてそうなおばちゃん。アガタデフエゴを探しに来たと伝えると、

「あら、それだったら確かセントロの近くで売ってるのを見た気がするわ。私もセントロに用事があるから一緒に行こうか?」

と親切に教えてくれました。
こんな感じだとすぐに見つかりそうだなと思ったので、おばちゃんにはありがたく場所だけ教えてもらい自分たちだけでセントロへ行くことにしたのですが、後から考えるとここがミスジャッジでした。





セントロには石を使ったアクセサリーを扱っている店が連なっている商店街みたいな道があり、何軒か覗いてみたのですがファイヤーアゲートはありません。
たまに見かけても欠片のような小さいものばかり。
もう少し大きなサイズの原石が欲しかった私たちは早々にアグアスカリエンテスに見切りをつけて、鉱山があるカルビージョへ向けて車を走らせました。








アグアスカリエンテスからさらに50分ほど走ると、美しい街並みが残る小さな山間の街、カルビージョが現れます。
この街も前回訪れたテキスキアパンと同じく、メキシコ政府が認定しているプエブロマヒコ(Pueblo Magico)の街です。
プエブロマヒコとは魔法がかかったような昔の街並みが残る小さな美しい街のこと。
丘の上には教会がありそこから街を一望することができました。


カルビージョの教会


そんな小さくて可愛いカルビージョの街で、虹色の原石を妄想しながら聞き込みをしてみるものの、反応が薄くいまいち手応えが無い。



小一時間ぐらい街をうろうろして、ようやくファイヤーアゲートを知っている人に行き当たった。



「ファイヤーアゲートは知ってるけど、どこに売ってたかなあ…。あ!確かそこの店のおばちゃんがもってるぞ」


そう教えてもらった店に行くと、おばちゃんが自信満々で見せてくれたのは紙に貼り付けられた小さなファイヤーアゲートの鉱物標本。



確かにものはそうなんだけど、小指の爪の先ほどもないサイズ。想像していたものよりはるかに小さい。



うーんおかしいなあ。
インターネットで出回っているファイヤーアゲートはほとんど100%と言ってもいいくらいカルビージョ産だったのに。



結局初日はカルビージョの街には原石が無いという事がわかった事以外、特に収穫を得ることができなかった。



意気消沈して宿に戻り、明日のことを考えた。
このまま手ぶらで帰るのは悲しすぎる。



こうなったら明日こそ直接鉱山に行こうと思って、英語やスペイン語のページをくまなく調べてみたけれど、鉱山の住所がいまいちあやふやではっきり出てこない。



しばらく手こずったけどそれでもようやくそれらしい地域を絞り込むことができた。
だけど、Googleストリートビューで見てみるとそこは売店が一軒、散髪屋が一軒あるぐらいの田舎の村。
石を売っている気配はない。



不安だけど行ってみるしか当てが無いしなあ…。
こんなとこまで来ておいて空振りだったらどうしようと、もやもやした気持ちを抱えながらその日は就寝。















2日目。

直接鉱山に行こうと思っていたんだけど、チェックアウトをしようと思ってホストのおばちゃんと話していると、なんとおばちゃんの胸にはファイヤーアゲートの原石をあしらったネックレスが!


それそれ!それやんおばちゃん!


聞くと、アグアスカリエンテスの街で原石を使ったアクセサリーを売っているアルテサニア(ものづくりをしている人)がいて、昨日買ったのだという。



おばちゃんのいう事最初から聞いていればよかった!



その人たちがいる場所をおばちゃんに詳しく聞いてお礼を言って、もう一度アグアスカリエンテスのセントロへ向かった。



教えてもらった場所に着くと、確かにアルテサニアが10組くらい、簡単なテーブルにそれぞれの作品を並べて道売りをしている。
その中には数は少ないけど、お目当てのファイヤーアゲートを使ってアクセサリーを売っている人もいた。



よく見ると、同じような商品構成でも扱っている石のクオリティはまちまち。
一番綺麗な石を扱っていた金髪ドレッドのお姉さんに話を聞くと、昨日訪れたカルビージョの手前にサンタデオという村があり、そこにファイヤーアゲートを売っているドンがいることを教えてくれた。
さらにお姉さんはニコニコしながら、親切にドンの連絡先も教えてくれた。



…キャッチ出来てる!

昨日の教訓を生かして一つ一つ情報を正確に辿っていく事で、ファイヤーアゲートに近づいていってる事が感じられる。



再び昨日と同じ道を走ってカルビージョ方面に向かい、街の手前で脇道に入ってドンのいる村サンタデオへ。
村の教会の前でおしゃべりしていたおじいさんにドンの事を聞くと、家まで案内してくれた。

坂の上のドンの家


坂を上がった頂上にドンの家はあった。
中に入ると家族がたくさん出てきてくれたのだけど、ドンの姿はない。
家族の話によると、多分畑か山に入ってるそう。



しばらく家の軒先で待たせてもらっていたが、待てども待てどもなかなか現れないドン。
帰りの時間を気にしてそわそわしていると、それを見かねた娘さんが畑まで一緒に探しに行こうと言ってくれた。



メキシコ人の面倒見の良さに感謝しながら、娘さんと一緒に車に乗って別の山へ。



そこは気持ちのいい風が吹く見晴らしのいいグアヤバ(グァバ)畑だった。
収穫期であるグアヤバのいい香りが辺りを包んでいる。

娘さんとグアヤバの木


そんなグアヤバ畑を奥へ奥へ進んでいくと、ついにドンが現れた。
ドンはもみあげと口ヒゲが一直線に繋がったオシャレなおじいさんだった。



にっこり笑って握手を交わす。
一族を支えている風格があり、威厳に満ちた雰囲気。

「グアヤバ好きか?今が一番美味しい時期なんだ。」

と、辺りに生っているグアヤバをもいで私たちのカバンがパンパンになるまでとれたてのグアヤバを分けてくれた。

畑からの景色とドン



ようやく出会えたドンと一緒に家に戻ると、さっき私たちが座っていた軒先の椅子の下から無造作にバケツを取り出した。
バケツの中には山盛りのファイヤーアゲート。



ついにここまでたどり着けた。

バケツいっぱいのアガタデフエゴ


一つ一つ水につけながら石を見ていると、途中で娘さんがタコスやコーラを出してくれた。優しい心遣いを受けて、まるで田舎に遊びに来たような懐かしい不思議な感覚になる。
帰りの時間もあったのでゆっくり食べられなかったけど、穏やかな家族に見守られながらじっくり石を選んだ。




アガタデフエゴは原石のままではその虹色の面を見る事はできない。水につけた状態、もしくは表面を研磨する必要がある。



ドンにこの近くで石の研磨をしてくれる人がいるか聞いてみると、ケレタロに研磨職人がいると教えてくれた。



ケレタロか…。幹線道路太くて速くて運転が怖いから行きたくないんだけどなあ…。



満足できる石をいくつか譲ってもらい、お礼を言ってドンの家を後にした。



さて、この原石を研磨してもらわないと。
次はケレタロだ。






2016年1月8日金曜日

メキシコで購入できる材料で、スパイスから日本のカレーを作る

明けましておめでとうございます。


皆様よいお正月を過ごされましたでしょうか?


メキシコではクリスマスの9日前のPosada(ポサダ)から始まり、Navidad(ナビダッド)、そして年が明けた1月6日のNacimiento(ナシミエント)まで、一月近くにわたってカトリックのお祭りが続いていました。


そんな流れの中で迎える元旦は至極あっさりした雰囲気で、メキシコ人の友人は普通に朝から仕事に行っていました。




異文化での年越しは知的好奇心を刺激してくれたものの、体はおせちを、餅を、日本酒を欲していました。
数の子と棒鱈が食べたい。
明るいうちから純米酒を飲んで寝正月がしたい。
ああ、それと、、、でも諦めました。



そんなわけで、時おり無性に慣れ親しんだ日本の味が食べたくなるメキシコでの生活。
日本の食材も割と手に入れることができるので、恋しくなった時は日本食を作って心とお腹を満たしているのですが、そんな中でMiaが開発した珠玉の一品のご紹介です。


それは、カレー。
スパイスから作る、日本風のカレーです。


だいたい8皿分くらいできる分量です。









日本のカレーの作り方



準備するもの


1 スパイス



メキシコではスパイスが豊富に手に入ります。
インド人のクラスメイトに教えてもらったのですが、グアナファトではメルカドイダルゴで手に入れることができますよ。




ホールスパイス
・コリアンダーシード(Semilla de Silantro)
・クミンシード(Semilla de Comino)
・クローブ(Clavo)
・コショウ(Pimienta)

メルカドイダルゴで買えるクミンシードは少し砂が混ざっている気がするので、網で漉してから使うことを勧めします。
コリアンダーシードの枝も取ってから使いましょう。



パウダースパイス
・クミンパウダー(Comino molido)
・カネラパウダー(Canela en polvo) ※シナモンパウダー
・カイエンペッパー(Cayena) 

コリアンダーパウダーを追加しても良いです。
メルカドイダルゴの入り口から入って右奥








2 食材




野菜はお好みで増やしたり減らしたりして大丈夫だと思います。
隠し味は無くても良いのですが、加えると確実に美味しさアップです。
お好みでどうぞ。


スープ
・骨つきの鶏肉(人数に合わせて半羽〜1羽)
・トマト
・牛乳

ペースト
・玉ねぎ
・生姜
・にんにく
・ウコン

調味料など
・塩
・油
・小麦粉

具材
・じゃがいも
・人参

隠し味
・りんご
・パイナップル
・チョコレート



準備する食材は以上です。
それでは始めましょう!











調理手順


大まかな流れとしては、

1 スープを取る
2 ペーストを作る
3 それらを混ぜて煮込む

という感じです。
まずはスープ作りから。




1 スープを取る


骨のついた鶏肉と適当な大きさに切った生姜を弱火で2時間コトコト煮込みます。
アクが気になるようなら取ってもいいし、取らなくても大丈夫です。
この間は特にすることもないので、まずは鍋を火にかけてのんびり待つのみです。
しっかりスープがとれたら鶏肉とスープを分けておき、後で手でむしりやすいように鶏肉を冷ましておきます。

2時間煮込むと肉はほろほろになる




2 ペーストを作る


ペーストに使うホールスパイスの分量はコリアンダーシード大さじ半分、クミンシード大さじ1、クローブとコショウは10粒程度。


上から時計回りにクミンシード、コショウ、枝みたいなのがクローブ、丸いのがコリアンダーシード





まだ熱していない乾いた鍋にホールスパイスが浸るくらい油をひきます。
ホールスパイス4種を鍋に入れてから火をつけて、弱火でスパイスをゆっくりと炒めます。

鍋はよく水を切っておく(油がはねるから)





常温の油からゆっくりと加熱することで、じんわりとスパイスの香りが油に染み渡っていきます。
逆に高温の油でスパイスを炒めるとすぐに爆ぜてしまい香りも飛んでしまうので、ゆっくりゆっくり油に香りを馴染ませましょう。

だんだん油に色がついてくる





その間に玉ねぎ、生姜、ウコン、にんにく、パイナップル、りんごをミキサーにかけます。
このぐらいの分量をミキサーにかけると、



こうなる





スパイスの香りが立ってきたら、香りのついた油の中にミキサーにかけたペーストを加えます。



水分を飛ばしながらしばらく炒めましょう。




3 それらを混ぜて煮込む


途中で角切りにしたトマト(2個)を加えます。







トマトが煮詰まってきたら小麦粉を加えてペースト状にします。

小麦粉はとろみ付けのためなので、好みのトロトロ具合まで。






その後、先ほど分けておいた鶏ガラスープを少しずつ加えていきます。



パウダースパイスもここで入れます。
分量はそれぞれ大さじ1ちょい。カイエンペッパーは大さじ2ぐらいでもよい。

左上がカネラパウダー、その下がクミンパウダー。右のオレンジがカイエンペッパー。




塩も加えて味を調節してから隠し味のチョコレート(2、3欠片)を投入して、味を見ながらまろやかになるように牛乳を適量加えます。


味が整ったらジャガイモや人参といった好みの野菜を投入し、火が通るまで煮込みます。


煮込んでいる間に、先ほど分けておいた鶏肉をむしり、野菜に火が通ったタイミングで投入。


少し煮込んだら出来上がり!!

ちなみにこの写真は二日目。時とともにこなれて美味しくなるのは一緒。




スパイスから作るカレーですが、インドのカレーとは違った、日本の味です。
食べるといろんな思い出(カレーの)がフラッシュバックして、身体中にノスタルジックな感情が染み渡ります。


スープを取るのに2時間。その後の調理に2時間ぐらいですかね。


タイ人、メキシコ人、韓国人、アメリカ人にも好評でした。
言うまでもなく日本人にも大好評。



これでスパイスさえ手に入れることができれば世界中どこでも日本のカレーが食べられますよ!