2016年1月30日土曜日

ワステカの民、テネク・マヤの家

日本から友人が訪ねてきてくれたので、ちょっと足を伸ばしてサンルイスポトシ州にあるワステカ・ポトシーナに遊びに行ってきました。


ワステカはグアナファトから車で不毛な砂漠高山地帯を約6時間走った先にあり、なかなか遠かったです。
頑張って離れた分土地の雰囲気も大きく変わり、ジャングルの中には最高に綺麗な滝や川がいくつも点在していて、興味深い建築やワステカの人たちの暮らしを見ることができました。

ワステカスタイルの家











Aldea 


タマソポの滝とPuente de diosという滝でひと泳ぎした後に向かったのはラフティングや滝遊びなどのアクティビティーを行っているRuta Huastecaの経営する宿泊施設、Aldea。


私たちも翌日はラフティングをすることになっていたので、前泊する形でそこに泊まりました。

Aldeaの敷地内を流れるRio Micos



舗装された道を外れてガタガタの土道を300mほど奥へ進むと、パッと開けて芝生が広がり、奥には綺麗な川が流れています。
植物と建物が有機的に配置されていて、手入れの行き届いた広い庭を歩いているだけで幸せな気分になりました。


宿泊場所はそれぞれワステカ族の建築を再現した家の一棟貸し。



ツインの部屋(家)が20軒以上


朝夕の食事は料理上手なワステカのセニョーラが作ってくれました。
料金は1泊2食付きで490ペソ。






さて、あまり耳に馴染みのないワステカ族とは一体どのような民族なのか?


ワステカの民はもともとはマヤの人々。マヤの多くはユカタン半島やグアテマラに住んでいるのだけれども、ワステカの民はベラクルス州の北部とサンルイスポトシ州東部に住む先住民族であり、マヤの生息地域の中でも北限に住む、忘れられたマヤの末裔。
彼らの総称はテネク・マヤ。

若者も含むその多くが現在もワステカ語を話しているが、スペイン語も話せる。

雨が多いため水に恵まれたジャングルの肥沃な土地に住み、調理の際にガスは使用せず、食事は薪を焚いて作っている。
現に車で山道を走っている時にも、薪を集めているテネクの人々を何度も見かけた。

病気になると、軽いものであれば家庭で薬草などを用いて治療し、西洋医療に過度に依存はしていない。
村の中には今もシャーマンがいて、祈祷して病気の回復を図る、という医療の役割を担っている。

テネクの民が住んでいる地域には一応小・中学校があり(教員はいなくてビデオ授業だけの中学校もある模様)就学はしているが、彼らの考え方では公教育は小学校までで十分とされており、中学校へ進学するのは全体の10%程度にとどまっている。

そのぶん家庭やコミュニティでの日常教育が学校教育を補完する役割を担っているため大切にされていて、子供は家庭やコミュニティの中で褒められたり叱られたりしながら、資源、住居用空間、薬草、食料、環境資源の確保について学んでいる。


とのことです。
資料がほとんどなく、大阪経済大学の桜井美枝子氏の研究ノートを参考にしました。


なんだか面白そうな民族ですね。
知名度も低いし、その分今も現在進行形で昔ながらの生活習慣が残っています。
2000年以上前の生活習慣が。




お化けみたいな外観


そんなテネクの民の家ですが、パッと見た感じは日本の遺跡跡によくある、先住民族の家を再現した建物みたいな外観なのですが、内部は現代に暮らす私たちのために、使い勝手良く調整されていました。


部屋の中。奥がバスルーム。



家の特徴ですが、使用している資材はもちろん全て自然素材。
木と竹とヤシの葉で出来ています。


コンクリート基礎の上に円形の建物があり、屋根は竹で組んだ骨組みにヤシ(Palmera)の葉をかぶせた茅葺風。というか草葺き。


ここでは基礎にコンクリートを使用していましたが、本来は石を並べて基礎を作るそうです。
もともとワステカ族の人たちは化粧漆喰を土壁にぬっていたそうですが、ここでは簡易的に木で枠を作り、布を張っていただけでした。

ちなみに屋根に使うヤシの葉は1枚3ペソで売っていて、一棟に2000枚必要だと教えてくれました。
建築費用は屋根代込みで大体1棟10万円程度。


ただ、屋根は茅葺きと同じように永久的に使用するものではなく、タイミングを見はからって張り替える必要があります。


この家が良いと思った点は2点あって、1つは現地にある素材だけで作っているところ。
もう一つは、縄文時代のような家でも室内を現在の生活スタイルに整えれば以外とシンプルで快適な空間が出来ていたところ。






そして、一番心に残ったのはこのような建築に今もなお多くのテネクの民が住み続けていることでした。


翌日ラフティングを楽しんだ後、昼食をテネクの家の軒先で食べたのですが、料理上手なセニョーラが、石で組んだ炊き場で薪を使って調理された美味しいメキシコ料理を6種類も出してくれました。

どの料理も抜群に美味しい


庭には鶏が歩きまわり、バナナの木が生い茂っていて、その家族は少しだけ現代のインフラが入った茅の家に今も住んでいた。

テネクの家


植生豊かなジャングルと、澄んだ川があちこちに流れているこの環境。
子供の目はキラキラ輝き、どのセニョーラも少し無愛想だけど抜群に料理上手。
本当に気持ち良く日々が過ごせそう。







日本でも、縄文時代は竪穴式住居に茅で屋根を作っていたそうですが、そこから発展して白川郷や京都の美山町のようなレベルにまで進化した。
日本の茅葺の技術は本当に高くて、その耐久性、造形美は世界を見渡しても群を抜いて上質な部類だと思う。


逆に、テネクの家は何千年も前のままで、ほとんど変わっていない。
進化するものと守り続けるもの、どちらも魅力的だ。


個人的には進化していくことに魅力を感じてしまうけど、家づくり初心者としては簡単な建築という点で同じくらい魅力的。
これならいけるな、と思った家でした。


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